「金太郎、祝福される。」(集英社文庫・コミック版8巻収録)

美鈴のした賭けゴルフに金太郎が激怒

『サラリーマン金太郎』第82話では、金太郎が結婚したばかりの妻を殴ってしまう。だが、そこに込められた思いは重い。

金太郎は銀座の高級クラブのママ・美鈴と結婚し、新婚旅行としてハワイに出かけた。美鈴はこれまで、金太郎とはまるで違う世界を生きてきた。ハワイのゴルフ場では、そんな美鈴と親しい財界の大物たちと、金太郎はゴルフをすることになる。

ゴルフがほぼ初心者の金太郎は、美鈴とチームを組んで大物たちと勝負する。だが結果は当然ながら負け。そこで美鈴は、“負けた分”として、1万2000ドルを小切手で払おうとする。美鈴にとっては、こうした“賭け”のゴルフはいつものことだそうだ。

ここで、金太郎はこれが賭けゴルフだったと初めて気づき、その小切手をビリビリに破り捨てる。そして「日本に帰ってから払うから待ってください」と相手に告げる。

美鈴は「私が払う」と言うが、金太郎は美鈴をビンタする。

そして、賭けに負けて100万200万を平気で払おうとしたことに対して、「それがサラリーマンの女房の金銭感覚だってんのか。調子こいてんじゃねえよ……」と言い放つ。

まわりから「女を殴るとはなんだ」と責められても、金太郎は動じない。

「あんたらの世界がどんなんか俺にゃあどうでもいい。しかしな……俺にとって100万200万はシャレになる金じゃねえんだ……」と。

金太郎は、負けたことに腹を立てているのではない。クラブのママをやめ、金太郎の稼ぎ一本で暮らしていくと決めた美鈴が、これまでと同じ金銭感覚のままでいることに怒っているのだ。

結婚した以上、相手がどれだけ金を持っていても、自分たちは自分たちの感覚で生きていく。その線を、金太郎はここで引いている。

夫婦になるというのは、好きだと言うだけでは済まない。金銭感覚も、生活の感覚も、すり合わせていかなければならない。

金太郎の熱いビンタの場面は、ぜひ漫画で読んでほしい。