「鷹司の造反!」(集英社文庫・コミック版8巻収録)

ヤクザ相手に説教する金太郎

『サラリーマン金太郎』第76話は、今の自分にどこか満足してしまっている人にこそ刺さる話だ。

金太郎たちは、駅前パチンコ店を再開発し、そのビルの中に競馬の場外馬券売り場を入れる計画を進めている。だが、その構想を実現するうえで避けて通れないのが、競馬のノミ屋を仕切る暴力団の存在だった。

早田のツテを頼って暴力団に話を聞きに行くと、相手はこう言う。日本全国の極道の中で、競馬、競輪、競艇のノミを利権にしていないところは一つもない。その元締めである山王会には年間200億もの金が入る。そこに喧嘩を売れば、3日も命は持たない――と。

普通なら、その時点でひるむだろう。相手は危険なうえに、すでに巨大な利権を握っている。交渉する余地があるのか以前に、関わらないのが正解に見える。

だが金太郎は、そこで相手を特別扱いしない。むしろ、「今の地位にふんぞり返っているだけじゃないか」と言わんばかりに、もっと客を呼ぶ努力をしろ、もっとサービスを考えろ、と突っ込んでいく。

「ARA(全日本競馬会)が馬券売場を増やしたところで、あんた方がノミ屋としての仕事に努力すれば客は減りませんよ」「違法でコソコソやってんでしょう。だったら、もっとその分サービスを考えりゃあいいんだよ」

この言葉は、この場に限った話ではないだろう。立場があり、利権があり、客がいる。だから現状維持でいい――そうやってぬるくなっていく人間に対して、金太郎は活を入れているシーンとも考えられる。

もっとできるはずなのに、やらない。工夫できるはずなのに、しない。そうした人間に対して、「努力しろ」と叩きつける。76話の金太郎は、ヤクザ相手に商売の話をしているが、実際にはあらゆる“ぬるい人間”に向けて同じことを言っているのだ。

金太郎の言葉の全文は、ぜひ漫画で読んでほしい。

サラリーマン金太郎 8
本宮 ひろ志
サラリーマン金太郎 7
2005年3月18日発売
702円(税込)
文庫判/336ページ
ISBN: 4-08-618274-2
全国のパチンコ店と場外馬券売り場を合体させた総合レジャービルの建設推進という金太郎班の壮大なプロジェクト。その計画を阻む暴力団・山王会との命がけの攻防の行方は…。
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サラリーマン金太郎 集英社版 8(デジタル版)
本宮 ひろ志
サラリーマン金太郎 集英社版 1(デジタル版)
2015年1月22日発売

【ページ数が多いビッグボリューム版!】全国のパチンコ店と場外馬券売り場を合体させた総合レジャービルの建設推進という金太郎班の壮大なプロジェクト。その計画を阻む暴力団・山王会との命がけの攻防の行方は…。

カバー 1
目次 5
第74話 金太郎、突破する。 7
第75話 金太郎、引き抜かれる。 44
第76話 鷹司の造反! 65
第77話 金太郎、襲撃さる。 85
第78話 金太郎、引かず。 141
第79話 金太郎、会社を救う。 197
第80話 金太郎、結婚! 235
第81話 金太郎、新婚旅行。 259
第82話 金太郎、祝福される。 299
奥付 339

週刊ヤングジャンプ掲載

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