「金太郎、引かず。」(集英社文庫・コミック版8巻収録)

金太郎が父親と再会して…

何歳になっても、どれだけ離れていても、親にとって子どもは、命をかけても守りたい存在なのかもしれない。

『サラリーマン金太郎』第78話では、金太郎が父親・矢島照男の愛情を、思わぬ形で感じることになる。

全国のパチンコ店と場外馬券売り場を合体させた総合レジャービルの建設計画を通すため、金太郎は日本最大の暴力団「山王会」の総裁・本城に会いに行く。そこにいたのがなんと、父・照男だった。

金太郎と父の間には、長い空白がある。金太郎は3歳で父と別れ、父のいないまま育った。だが母は父の悪口を一度も口にせず、金太郎自身は、簡単には埋まらない距離を抱えたまま大人になった。

サラリーマンになってから一度、生まれ育った地元に帰ったとき、金太郎は父と再会している。だがそのときも多くは語らず、照男は金太郎の息子・竜太を抱くことさえ、「抱いてやれる資格は俺にはない」と拒んでいた。

そんな親子が、またここで向き合う。しかも照男は、本城から絶大な信頼を受ける存在になっていた。

照男の息子の頼みということで、本城は金太郎の話を聞く。だが商談については「そいつは無理だ」と断った。そこに割って入ったのが照男だ。

「俺の命と引き換えじゃだめかい!?」

ずっと離れて暮らしていた息子の仕事のために、自分の命を差し出すと言うのだ。長いあいだ金太郎に何もしてやれなかった、その時間ごと埋めようとするような言葉にも見える。

照男の覚悟、そしてそんな父の姿を見た金太郎の表情を、ぜひ漫画で読んでほしい。