高額療養費問題の影響は「不妊治療」にも
宋 出産に関しては無償化の方向性なので、今のところ高額療養費問題の直撃はないと思うんですけれども、不妊治療は2022年に保険適用になっているので、「高額療養費の自己負担引き上げって不妊治療に直撃じゃないの?」って仲間の医師に聞いたら、「めっちゃ直撃……」って言っていました。たとえば年収600~700万円くらいの夫婦だと、見直し案でまさに大きな引き上げになる人たちですよね。
西村 年収400~700万円くらいの層は、勤労世帯のボリュームゾーンですね。
宋 しかも、不妊治療の当事者さん自体が自分に関係のあるニュースだとあまり思っていないように見えるんですよ。いざ引き上げになって、病院の窓口で支払うときに「えっ! 高額療養費制度ってもう不妊治療には使えないの? これだけ自己負担しなきゃいけないの……」ってびっくりするんじゃないか、という気がします。
厳密なことを言えば、不妊治療は病気ではないんですが、保険でカバーされるようになって子供が欲しいと願う夫婦が国から恩恵を受けているはずなのに、同じ不妊治療をしていても年収によって負担額が違うという状態が顕在化すると、当事者同士の間で不平等感がものすごく大きくなってしまうんじゃないか、ということが心配です。
しかも、子育ては所得制限のオンパレードで、所得次第で国からの扱いが逆転してしまうんですよ。子供に対して行うものに親の所得で差をつけること自体がすでにおかしいのに、授かる前から差が開いてしまうのはさらにおかしいですよね。
西村 高額療養費制度の公費負担分を削ろうとしたのは、こども未来戦略加速化プランのお金を捻出するために手をつけやすかったことが大きな理由のひとつだと思うんですが、子ども子育て支援金とか子ども未来戦略とか言いながら、不妊治療に悪影響があるのなら子どもや子育て支援に全然なっていない、というのが皮肉ですね。
宋 そうなんです。現役世代の財布から取って現役世代に「はい、手当を給付します。でも所得制限ね」みたいなことをやっていて、こっちにしてみれば「いや、そんなことしていらんねんけど」って(笑)。しかも、これで安くなる社会保険料は月に116円程度ですよね。それくらいの金ならセーフティネットのために払うよ、って誰もが言うと思うんですけど。














