「不当な賃下げ」か「必要な制度調整」か

「違う。逆だよ。保育士の給与を上げるんだよ」

大津市の幼稚園教員の給与見直しをめぐりSNS上でこうした批判の声が上がっている。

問題は、「幼稚園教員の賃下げ」という見出しに強い反感が出た一方で、行政の説明は「幼稚園・保育所等をまたぐ配置や採用の一体化に合わせ、給与体系(給料表)を統一する」という制度設計にあり、そのズレが炎上の核にある。

大津市議会の資料では、来年度の新規採用者から公立の保育士と幼稚園教員を統合した「教育保育職制度」を導入し、目的を「保育所等待機児童数が2年連続で全国最多となっている状況の改善」「幼稚園・保育園間の人材交流の促進」と明記している。

つまり、今回の条例改正案は幼稚園側に余力が出やすい局面で、保育の人手不足へ人材を振り向けるための議案となる。

一方で、同議会資料では「制度変更により幼稚園教員の処遇が低下することはモチベーションを損ない、生活基盤の不安定化を招くおそれ」とし、教職員組合アンケートで「約2割が離職、または離職を検討」といった懸念も示されている。目的は人材流動化のはずが、入口で損が見える設計だと、流動化の前提が崩れる。

大津市の保育士の初任給は大卒・短大卒で同水準(約22万円)で、幼稚園教諭とは最大2万円近い差があり、幼保一括採用で保育士側に合わせると「大卒者は1万円近い減額」になり得るという。

さらに「新卒者だけでなく現在働く教職員も対象になり得る」とされ、これが現場の不安と反発を増幅させている。

ただし、これは主として公立(地方公務員)の職種・給与表の整理という側面が強い。幼稚園教諭が教育公務員的な給与体系であるのに対して、保育士は一般職の給与表に近い運用が多い。異動可能な採用・配置に寄せるなら、給与表の統一は行政実務としては合理性がある。