娘のトラブルに15年以上悩まされてきたAさん

娘が幼いころに夫と離婚したAさん(55)は一人娘のBさん(33)の処方薬のODと、それに付随したトラブルに15年以上悩まされている。

Bさんが処方薬を規定量を超えて服用するようになったのは中学生の頃だという。

「もともと小学校までは問題なく登校できていましたが、中学に上がると新しい環境に馴染めなかったのか不登校になりがちでした。学校に行ける日は疲れ果てて帰ってくることが多く『何かあったの』と聞いても『べつに』『大丈夫』しか言わず、部屋にこもる時間が長くなりました。

深夜になっても娘の部屋の電気がつけっぱなしの時ほど、このまま電気を消して私も寝たら取り返しのつかないことが起きるのではないかと眠れない日々を過ごしていました。

当時の私は娘のその状態はもちろん、とはいえ眠らないことには日中に仕事をする体力が持たないと感じたことから心療内科から催眠作用を持つ薬を服用していました。後から知ったことですが、娘も私が薬を飲むのを見て『これで楽になるのかも』と思って私のその薬を隠れて飲んでいたようです」

写真はイメージです(PhotoAC)
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Aさんが服用していた薬はいったいどんなものなのか。取材した薬剤師はこう解説する。

「Aさんが服用していた抗不安薬は、日本では2016年10月より『第三種向精神薬』に指定されており、流通や処方に規制が設けられました。高い依存性のリスクがあるにもかかわらず多くの診療科で安易に処方されていたため、乱用を防ぐ目的で指定されたのです」

当時はまさか娘が自分の薬を隠れて飲んでいるとは気づかなかったAさんだったが、「なにかを隠している」という思いはあった。しかし仕事の忙しさに追われ娘の心の奥底に踏み込む術もなければ余裕もなかった。

現在では「児童思春期外来」の認知も広まっているものの、当時はまだ数も少なく、Aさんもそんな存在は知らなかった。

それでも「娘はなんとか高校に合格でき、本人も『心機一転がんばる』と意欲を見せていました」という。

取材に応じたAさん(撮影/集英社オンライン編集部)
取材に応じたAさん(撮影/集英社オンライン編集部)

「しかしやはり環境に馴染めず、いい友人関係も築けなかったのか自主退学しました。そこからは完全に昼夜逆転の生活に。アルバイトなどもせず、私が朝起きて仕事に行くときに寝て、私が帰宅した後に外出するようになりました。

何度も話をしようと試みましたが叶わず、娘に拒絶されていることに胸が痛みました。でもそれも娘も『どう助けを求めたらいいかわからない』というサインだったということが今ならわかります。

あの時は、娘にお金を渡さないと暴れたりする状態でしたので、それを避けるために数万円のお金を渡していました。今思えば、そのお金でいろんな病院に行き、『不眠だから薬がほしい』などと言って、処方を受けていたようです」