Bさんが25歳の時に「ダルク」の家族会に繋がる

Bさんは20歳ごろからバイトを始めるようになる。娘が働き始めたことにAさんはホッとしたものの、掃除のために娘の部屋に入ると、抗不安薬の空き容器のゴミが落ちていたのを発見した。

写真はイメージです(PhotoAC)
写真はイメージです(PhotoAC)

「娘に『薬を飲んでいるのか』と問うと、『飲むとハイになるんだよね』とあっさり認めました。20代になってからは酒と薬を併用するようになり、明らかに暴言や暴力的な行為が増えました。

娘のODは悪化し、毎晩のようにリストカットするようになりました。福祉の窓口や精神科などにも相談しましたが、『成人なので本人の意思がないと強制入院はさせられない』と言われ、なす術がありませんでした」

さらにBさんの奇行はエスカレートしていく。

「呂律の回らない声で電話をかけてきて、マンションに駆けつけると屋上の柵の外側に立っていたこともありました」

写真はイメージです(写真/PhotoAC)
写真はイメージです(写真/PhotoAC)

娘の生命の危機を感じ、警察に相談したというAさん。娘の暴力のことも相談しました。しかし、「ご家族のことはご家族で解決してください」「今は暴れていないし強制入院などはできない」「僕らは事件にならないと動けない」と言われ、対応はしてくれなかった。

結局、教育関係の知人から薬物依存症からの回復を支援するNPO法人「ダルク」の存在を教えてもらいました。その家族会に繋がったのは、Bさんが25歳の頃だった。

「『ダルク』の家族会の個別カウンセリングを初めて受けました。これまで私は自身の母親も含めいろんな人から『仕事ばかりして娘のSOSを見逃した』『育て方が悪かった』『愛情不足だった』と散々言われ、自分を責めてきました。

でもダルクのカウンセラーさんに『あなたのご家庭は機能不全だったわけではないし、お母さんのせいではありません』『娘さんとはこのまま適度な距離を保ちダルクの費用と病院の費用以外の金銭的な援助は一切しないように』と言われて救われました」

Aさんはもう1年以上、Bさんと会っていない。

「娘は16歳で病院で処方される薬物を規定と違った量で飲み始め、薬物依存となり、33歳になった今も回復はできていません。いま私が娘にできることはダルクの費用を支払うことと、娘の命が今日も無事にあることを祈ることだけです」