3人の息子が一気に巣立ち“空の巣状態”に

「いつか、こういう日がくるとは覚悟していましたが、いざ全員いなくなると、心にぽっかり穴があいてしまった感じで…」

そう寂しげに語るのは、関西在住の60代の女性、Kさん。男の子の双子と末っ子の三男の3人を育てあげたシングルマザーだ。今春ついに3人の息子が結婚や就職を機に家を出て、ひとりぼっちとなった。

「子育ては生活の全てでした。徐々に手がかからなくなったとはいえ、一緒に暮らしていたら、『今日はご飯いるかな』『洗濯しなきゃ』と考える日常がありましたが、それが一変してなくなってしまうと、精神的にかなりこたえました」(Kさん、以下同)

突然訪れた静けさに、Kさんは「空の巣症候群」に陥った。春以降、朝が辛くて涙を流すことも。成人後、別々に過ごす時間が増えたとはいえ、帰ってくる場所が同じというだけで心の支えとなっていた部分が大きかったことを実感した。

「何が楽しくて生きているんだろうって感じるときがあるんです。食事もひとりぼっちなので、適当になりがちで、食欲がわかない日も多いですね…」

趣味に打ち込んだり、同じ境遇の人と語らったり、自分なりに“空の巣状態”を乗り越えようと工夫しているKさん。それでもひとりの時間が長くなると「この先どうしよう…」と不安がふくらみ、余計な考えがせわしなく脳裏をよぎるという。

子どもが実家を巣立ち、「空の巣症候群」に陥った主婦(写真/shutterstock、以下同) ※写真はイメージです
子どもが実家を巣立ち、「空の巣症候群」に陥った主婦(写真/shutterstock、以下同) ※写真はイメージです
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