PTA総会で飛び交った怒号

この形式の授業をずっと続けていれば、先生だって面白くないはずです。面白くなさそうな先生を見た子どもたちも面白くないもの。参観者としても、見ていて疲れました。しかも、その日の研究授業は、3コマとも同じかたちでした。同じ授業の進め方をどこの小学校でも、どの先生でも同じに、金太郎のごとく作っていく、という教育方針です。それも、子どもたちが理解しているのかどうかにまったく想像が及んでいないように思えました。

この学校の「セルフ授業」の形式は、もともと保護者の方々にとっても好ましくないと映るようで、ある年のPTA総会では「あれは誰のためにやっているのか?」「学校のためか? 先生たちのためか? 子どもたちのためになっていないではないか!」と怒号が飛び交ったこともあるようです。

それでも、この学校のテストの点数は高いのです。山間にあるこの小学校は「一小一中」といって、自治体に小学校と中学校がひとつしかありません。それゆえ学校側も手が回りやすいのか、町の名前を掲げた〝公営学習塾〟を導入しています。学力アップをまず学級での学びを通じて目指す、というよりは放課後の〝塾〟などで勉強している。そういう構造なのでしょう。

私は参観後、小学校に隣接する中学校に行きました。学校側からは「3年生の飛び込み授業をお願いします」と依頼されたのです。私は本来、小学校高学年が専門ですから、中学校だと年齢の若い1年生や2年生の教室に行くイメージもあったのですが、なぜか3年生をやってほしいと言われました。

不登校の子ども(写真はイメージです)
不登校の子ども(写真はイメージです)

そこで校長先生にわけを尋ねると、

「小学校のほうは、もう5年生や6年生が毎年(学級)崩壊していて……中学の1、2年生は〝リハビリ〟の時期なんですよ」

外部の人には見せたくないという意味です。

私には、セルフ授業のような型にはめる教育に子どもたちが反発し、それを中学で抑えようとしてまた反発が起きているように見えました。この状況は学校現場での不適切な子どもへの指導の結果であり、これも明らかに教育虐待に当たるのではないかと思います。