なぜ女性だけ“理由”を問われるのか、女風をめぐる違和感

「マッサージや性感がうまかったし、性格的な部分も自分には合っていて。最初の頃は毎週のように利用して『大丈夫?』とちょっと引かれました(笑)。そこからだんだん落ち着いて、月に1回ぐらいのペースになりましたね。基本料金は2時間コースで2万円、指名料が2000円。

平日のお昼だとホテル代は5000〜1万円程度なので、1回あたり合計3万円ぐらいでしょうか。一度だけお泊りコースを利用して、そのときは全部で10万円ぐらいかかりました。食事をしたりクリスマスプレゼントをあげたりしたこともあったので、100万円前後は使ったと思います」

だが一方で、初回の利用時から「これは性的搾取なのではないか」という後ろめたさが脳裏にあった。

風俗店の入口(写真/shutterstock)
風俗店の入口(写真/shutterstock)

「性売買に関する議論はメディアやSNSなどでずっと目にしてきました。昨今は『買う側』を処罰の対象に加える法改正についての議論が注目されていますよね。

大抵の場合、買う側や管理する店舗が加害者であり売る側が被害者であるという構図、かつ、買う側が男性という前提で話が進んでいる。でも、男女の立ち位置が変わっても、その構図は変わらないと思います。そう考えると、自分がやっていることは対等な取引とはいえないのではないか。そこにずっと引っかかっていました」

女風を使うのは楽しい。でもこれは正しくない行為なんじゃないか――答えを求めて女風に関する書籍や記事を読み漁ったが、ヒントはなかった。そしてさらに、もうひとつの疑問が頭をもたげてくる。

「女性用風俗について語る人たちの間では、『女性が風俗を利用するのは、男性と違って性欲だけじゃない』という語り口が自明のものとして存在していたんです。それがベースにあるから、男性用風俗の語られ方とはトーンがまるで違う。そこに違和感を覚えました」

その差異は、本稿の冒頭で筆者が投げかけた「なぜ女風を利用したのか」という質問にも表れている。

「女性が風俗に行ったと言うと、『何かあったのか』と内面的な理由を問われがちです。でも風俗に行く男性には問わないですよね。働く側に対しても同じで、性風俗で働く女性の内面は注目されるけど、男性に『なぜセラピストになったのか』と内面的要因を聞いている例は少ない。なぜなんだろう? とシンプルに不思議だったんです」