リクルートスーツで現れた風俗嬢カオル

その場にそぐわない服装、というのがある。じつは、彼女との初対面がそうだった。

2年前の春のこと。連載をしていたスポーツ紙で取材相手のSM嬢として、磔台の置かれたプレイルームに現れたカオルの服装は、リクルートスーツだったのである。

正確なことをいえば、その時点で彼女はすでに会社勤めをしていたので、〝リクルート〟ではないのだが、セルフレームの眼鏡に着慣れていないスーツ姿は、どう見ても就職活動中の女子大生だった。

しかも彼女は、入社して間もない会社で新入社員としての仕事を終えた足で、店に出てきたのだという。

「体を触られたりとかキスだとか、あんまり嫌じゃない」リクルートスーツで現れた処女風俗嬢・カオルの特殊な“事情” _1
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以前、コスプレをするイメクラの取材で、OLの制服を着た女の子がいるにはいたが、それはあくまでも実生活とは異なる衣装。これほどまでにリアルな服装で現場に現れた女の子に会うことは、滅多にない。

聞けば、カオルが現在の店に入ったのは、就職前の2月とのこと。それまでにSMの経験はなく、初体験だと語る。ちなみに、ということで就職先の〝業種〟を尋ねると、彼女は躊躇なく、一部上場企業である外食チェーン会社の〝社名〟を挙げた。

ここまではっきりした物言いのときに噓はない。本当にそこで働いているのだろうと思った。続いて卒業した大学に質問が及ぶと、あっさり首都圏の難関国立大学の名が出てきた。これも恐らく真実なのだろう。

いやあ、なんだか面白い女の子に当たったようだ。その場にいる私の頰は緩んでいたに違いない。

私は彼女への取材結果を〈いかにも瑞々しい新入社員といった印象〉との書き出しで、店の紹介に続いて次のような記事にまとめた。