離婚とマッチングアプリ挫折の末、女性用風俗へ
近年、女性用風俗「女風」が、漫画やドラマなどのフィクション、あるいはルポなどで取り上げられる機会が増えた。そこに出てくるのは多くの場合、何かしらの理由を抱えて女風を利用する女性たちの姿だ。
「夫とセックスレスで」「性経験がないのがコンプレックスで」「仕事のストレスを解消したくて」……そしてセラピスト(女風業界ではキャストの男性をこう呼ぶことが多い)たちはその痛みや悩みに寄り添って、彼女たちを癒す。女風に興味がある人なら、そうした“物語”を見聞きしたことがあるのではないだろうか。
『人恋しくて女性用風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』の著者である藤谷千明さんに「なぜ女性用風俗を利用しようと思ったのですか?」と問うと、さっぱりした口調で「マッチングアプリがうまくいかなかったからです」という答えが返ってきた。
「離婚をきっかけに、『結婚していたらできないことをやろう』と思ってTinderに登録しました。でも、どうも独身じゃなさそうな人ばかりから連絡が来たりして、自分が望むような関係は作れなさそうだな、って。後腐れなく遊びたかったので、『じゃあ、お金を払ってプロのサービスを受けてみよう』と考えました。女性用風俗の存在は、漫画などを通じてなんとなく知っていたので」
そして大手女風店のサイトを検索し、ひとりのセラピストを選ぶ。
「モザイクがかかっていて目しか見えないけど顔写真が載っていて、その雰囲気がなんとなく良かった。それこそマッチングアプリみたいな感覚ですね。それと、セラピストの方たちはSNSやいわゆる写メ日記をやっているので、そこから人となりを想像して『この人は嫌なことはしてこなさそうだな』と思ったのが決め手でした」
当然ながら、女風では挿入は厳禁だ。施術の基本はオイルなどを使った通常のマッサージと性感マッサージ。店舗型はほぼ存在せず、ホテルや自宅にセラピストを呼ぶ形になるので、自分が頼んだこととはいえ密室で見知らぬ男性と二人きりになる以上、性被害などのリスクはどうしても存在する。
「ただ、事前にいろいろ調べたとき、“ユーザー”を名乗るアカウントがSNSに一定数存在していて、一種の“クラスタ”ができていることが見て取れたんです。中にはサクラもいるかもしれないけど、これだけ盛り上がっているのはビジネスとして成立しているからで、つまり無法地帯ではないんだろうな、と」
初めて“施術”を受けた感想は「プロってすごい」。そしてそこから、彼が退職するまで同じセラピストを約1年にわたって指名し続けた。













