人生の最期をどこで過ごしたいか

人生の最期をどこで過ごしたいだろうか。住み慣れた自宅で最期を迎えたいと願う人もいれば、場所には特にこだわらない人もいるだろう。

現状では、自宅で亡くなる人よりも病院で亡くなる人の方が圧倒的に多い。厚生労働省の『人口動態統計』によれば、1950年には自宅で亡くなる人が8割を超えていた。しかし、その割合は急速に減少し、1975年には半数を割り込み、2005年にはわずか12.2%にまで低下した。近年はやや増加傾向にあり、2024年には16.4%となっているが、病院死が主流であることに変わりはない。

2016年には「在宅緩和ケア充実診療所・病院加算」が診療報酬制度に新設されるなど、厚生労働省を中心に地域での在宅緩和ケアが推進されており、自宅での看取りを後押ししている。

自宅で亡くなる割合は半世紀で80%から12.2%に
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他方で、死亡者数の大幅な増加に伴い、医療や介護の受け皿が足りず、本人や家族の希望ではなく、結果として自宅で最期を迎えるケースもみられる。

同財団の2023年調査では、余命が1〜2カ月に限られている場合に自宅で最期を過ごしたいかを尋ねている。その結果、「自宅で過ごしたいが、実現は難しいと思う」と回答した人が44.5%、「自宅で過ごしたいし、実現可能だと思う」が30.8%だった。「自宅では過ごしたくない」との回答は7.7%に過ぎず、実現可能性はさておき、4人に3人が自宅での最期を希望していることがわかる。

実現可能性に対する意識には、性差が見られた。男女共に「自宅で過ごしたいが、実現は難しいと思う」が最多だったが、女性は49.3%、男性は39.6%と約10ポイントの差があった。男女を問わず7割以上が自宅での最期を望んでいるが、女性の方が「実現は難しい」と考える傾向が強い。特に60代・70代のシニア世代では、自宅で最期を過ごしたい人が8割以上と多い一方で、実現が難しいと考える人も5割前後と多い。

つまり、希望はあるものの、現実には難しいというのが多くの人の実感なのである。自宅での介護を夫や子どもに期待できないと考える女性が多いのかもしれない。

50代から70代のうち、同居者がいない人では「自宅で過ごしたいが、実現は難しいと思う」と回答した人が56.7%で、同居者がいる人の46.9%と比べて約10ポイント高い。

自宅での最期を希望しても、世話をしてくれる家族がいなければ実現は難しいと考える傾向があると推察されるが、同居する家族がいても実現困難と考える人も少なくない。それぞれの家庭の事情により、家族に介護を頼れないと感じている人も多いのだろう。