人生の最期にどのような医療を望むか
死を前にしたとき、どのような医療を望むだろうか。
内閣府が65歳以上を対象に実施した『平成24年度 高齢者の健康に関する意識調査』によれば、自分が病気で治る見込みがない場合、「延命のみを目的とした医療は行わず、自然にまかせてほしい」と答えた人が91.0%にのぼった。
それに対して、「少しでも延命できるよう、あらゆる医療をしてほしい」と答えた人はわずか5.1%に過ぎなかった。人それぞれの価値観や意思は尊重されるべきであり、どちらが正解というわけではないが、自分自身の人生の最期については、延命を望まない人が圧倒的に多いことがわかる。
ところが、「自分」ではなく「家族」が病気で治る見込みがない場合には、「延命のみを目的とした医療は行わず、自然にまかせてほしい」と答えた人は73.7%に減少し、「少しでも延命できるよう、あらゆる医療をしてほしい」と答えた人は14.7%に増加した。
本人と家族、それぞれの立場の違いによって意見が分かれ、家族内で葛藤が生じることもある。こうした状況は、双方に精神的な負担をもたらす可能性がある。
また、人生の最終段階に希望する医療として、痛みや苦痛を取り除く治療を優先することを望む人も少なくない。同財団の2023年調査では、「生命をなるべく長くする治療よりも、痛みや苦痛を取り除く治療を希望する」と回答した、いわゆる「緩和ケア」を望む人が63.4%と最も多かった。2018年調査では58.1%だったことから、緩和ケアを望む人は微増傾向にある。
年齢層別に見ると、年齢が上がるにつれて緩和ケアを希望する割合が増加し、20代では52.3%だったのに対し、70代では76.2%と、20ポイント以上の差が見られた。若い世代ではやり残したことや気がかりが多く、延命を望む人も一定数いるが、高齢になると死を現実的に捉え、苦しみたくないという思いが強くなるのかもしれない。
この問いに関して興味深いのは、「特に希望はない」「わからない」と答えた人が、回答者全体で約3割も見られた点である。延命治療より緩和ケアを望む人が多数派であることは確かだが、60代でも4人に1人は明確な希望を持っていないのである。
みずからの希望を示さず、他者に委ねるという選択もあるが、それも含め、人生の最終段階における医療の意向については、家族や医療者と事前に話し合っておくことが望ましいであろう。
文/坂口幸弘 写真/Shutterstock













