なぜニルヴァーナは嫌いな番組に出演したのか

『MTVアンプラグド』は、さまざまなミュージシャンがプラグを使用せず、つまりはアコースティックで演奏を披露する番組だった。

1992年にエリック・クラプトンが出演した際、そのパフォーマンスが話題となったことによって、MTVの看板番組となった。

音楽ビデオ専門チャンネルとして1981年に米国で放送を開始したMTV(写真/Shutterstock)
音楽ビデオ専門チャンネルとして1981年に米国で放送を開始したMTV(写真/Shutterstock)
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そんな人気番組が1992年の秋にオファーを送ったのが、若者たちから絶大な支持を集め、MTVビデオ・ミュージック・アワーズを受賞した経歴を持つ3人組のバンド、ニルヴァーナだった。

ドラムのデイヴ・グロールは、出演前に抱いていた番組の印象についてこう話している。

「アンプラグドは観たことあったけど、大半の演奏は好きじゃなかったな。だって、あいつらマジソン・スクエア・ガーデンにいるかのような振る舞いで自分たちのヒット曲をやってるんだぜ。違うのはアコースティックギターってことだけさ」

メンバーの目には、アンプラグドでやることの意味や本質といったものを理解せず、ただ商業主義に走っているだけの番組のように映った。そのような番組に出演することが果たしてバンドにとってプラスになるのか、メンバーは慎重に話し合う。

グランジロックの象徴的存在のニルヴァーナ(写真/Shutterstock)
グランジロックの象徴的存在のニルヴァーナ(写真/Shutterstock)

結果として3人は出演することを決めたのだが、それは同時に『MTVアンプラグド』に相応しいステージとはどのようなものなのか、それを模索する日々の始まりでもあった。