「金太郎、出発する。」(集英社文庫・コミック版5巻収録)

アイドルタレントからの誘惑に金太郎は…

『サラリーマン金太郎』第51話は、ナミビア赴任のため日本を発った金太郎が、パリのホテルで思わぬ修羅場に巻き込まれる回である。

出発前の成田空港では、美鈴が金太郎にビンタを食らわせる。海外へ行くことを本人から聞かされていなかったのだから、怒るのも当然だろう。金太郎が付き合っているのは美鈴であり、二人の関係はある程度はっきりしている。

ただ、そこに割って入ってくるのが、美鈴の娘・美々である。美々は以前から金太郎に惹かれており、その気持ちがこの回で一気に表面化する。

パリに着いた金太郎は、現地社員に連れられて夜の街へ出る。フランス人女性にキスまでされ、相変わらず妙にモテる展開が続くが、本番はそのあとだ。

ホテルの部屋に戻ると、そこにいたのはまさかの美々。しかも彼女はためらいもなく金太郎に抱き着き、「私、金ちゃんに抱かれに来たの」と迫ってくる。

美々は16歳、金太郎は25歳、美鈴は35歳。金太郎はこの親子のちょうど中間の年齢にいる。

日本ではアイドルタレントとして絶大な人気を誇る美々が、自分に猛アプローチをしかけてくる。しかもヴァージンとまで明かして迫ってくるのだから、かなり強烈だ。

だが、金太郎はブレない。美々の思いを無下に切り捨てるのではなく受け止めつつも、最後には「でも俺はお母さんを選ぶ」とはっきり言うのだ。

全世界の男が揺らいでしまいそうなこの場面で、はっきりそう言えるのが金太郎なのである。少しくらいずるいことをしてもよさそうな状況なのに、それをしない。だからこそ、金太郎はモテ続けるのだろう。