常識を外したセットリストの覚悟
彼らはセットリストを組むにあたり、自分たちの曲のほかに、デヴィッド・ボウイの『世界を売った男』やブルースの巨人レッド・ベリーが残した『ホエア・ディド・ユー・スリープ・ラスト・ナイト?』など、カバー曲を何曲か取り上げている。
そしてその中に、彼らの大ヒット曲である『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』は入らなかった。この曲を演奏することに辟易していた彼らにしてみれば、外すのはごく自然の成り行きだった。
ゲストには、カート・コバーンがミート・パペッツを呼びたいと提案した。ミート・パペッツは1980年から活動している3人組のバンドで、ニルヴァーナに音楽のレクチャーをしたり、ジョイント・ツアーをしたりしている間柄だ。
カートもファンの1人であり、セットリストには彼らの曲も入っていた。
バンドのこうした提案に対して、番組制作のスタッフたちは了承してくれたものの、MTVの役員はいい顔をしなかった。
彼らが求めていたのは話題のミュージシャンが大物ゲストと一緒に、大ヒット曲を披露するというステージだったからだ。それが確実に視聴率をとる常套手段だった。
そういった商業主義的な方向に背を向けて、自分たちの音楽と真摯に向き合うニルヴァーナに対し、役員たちは不満を募らせるばかりだった。













