「金太郎、強制する。」(集英社文庫・コミック版6巻収録)

日本人はみんな強いのか?

『サラリーマン金太郎』第56話では、外国人から見た“日本人像”が丸出しになる。

仕事をしない不誠実な現地業者のもとに乗り込んだ金太郎は、「ワーカー(労働者)はもちろん、現場のスーパーバイザー(監督)、フォアマン(職長)、誰もいねえんだよ」と責任者に詰め寄る。

だが相手は、日本語が通じないのをいいことに、金太郎が何を言ってもわからないフリを決め込む。挙げ句の果てには「お前の国がどんな国か知らんが、ここでは簡単に予定通りいかんのだ」と開き直る。

さらに屈強な大男を使って金太郎を脅しにかかり、「こんなところまで仕事に来るんじゃねえよ! まったくてめえら日本人はガツガツしすぎだぜ」と恫喝する。

まあ、言われてみれば、たしかにその通りかもしれない。こんな過酷な場所でも仕事を取りつけ、はるばる遠くの日本から人を送り込み、それでも工事を進めようとする。そんな日本人は、相手から見ればだいぶ異様なのかもしれない。

が、金太郎はもちろんこんな脅しには屈しない。「うるせえんだよ! この野郎! 約束を守るってことに、何人だろうと関係あるかァ!」と大男を投げ飛ばす。

そして正拳突きで家の壁に穴をあけ、相手に通じそうな言葉でこう言い放つ。「ヤバーニ(日本人)、ジュウドー、カラテ……みんな達人だァ。普段ニコニコしてんのはぁ、その自信があるからなんだよ!」

なお、あとで判明することだが、現地人に「本当に日本人はみんな強いのか?」と聞かれた金太郎は、空手経験は3日しかないと明かす。だが、空手とは“気”、気迫があれば、壁に穴をあけることくらい簡単だという。

金太郎にしかできないことだが、彼のような日本人がいることは心強い限りだ。