核以外にも抑止力のカードはある

最後に、アメリカ側の意向も不透明です。トランプ大統領は同盟国の防衛費の負担増を求めていますが、核兵器の管理権限を部分的に移譲することには慎重かもしれません。また、アメリカ国内でも、核兵器の拡散リスクを懸念する声があります。

高市政権下で核共有の議論が本格化するのでしょうか。安全保障環境の変化により、これまでタブー視されてきた政策オプションが議論の俎上(そじょう)に載ることは、ある意味で健全な民主主義の表れとも言えます。

重要なのは感情的な反発や思考停止に陥ることなく、冷静に分析し、国民的な議論を深めていくことです。核共有の導入には多くの論点がありますが、「核の傘」の信頼性をどう確保するかという問題は、日本の安全保障にとって避けて通れない課題です。

なお、日本が持つ抑止力のカードは核だけではありません。日本には権威主義国家が持ち得ない最強の非対称兵器があります。それは「法の支配」と「信頼」です。

力による現状変更を許さず、国際法とルールを遵守する日本の姿勢は、アジア諸国やグローバル・サウスからの深い信頼を集めています。

軍事的なハードパワー(防衛力・同盟)を強化し、「隙」を埋めることは大前提です。その上で日本が目指すべきは、核兵器の数で競うことではなく、「日本を味方につけることが、国際社会での評価につながる」というような、外交的・道徳的な高みを確保することです。

ハードパワーで国を守り、ソフトパワーで秩序を作る。「守られる国」から、アジアと世界の平和秩序を「支える国」へ。その姿勢があれば日本は真の自律国家としての歩みを始めることができるのではないでしょうか。

文/すあし社長 

この国の「なぜ?」が見えてくる日本経済地図
すあし社長
この国の「なぜ?」が見えてくる日本経済地図
2026/2/18
2,200円(税込)
360ページ
ISBN: 978-4761278571

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政治・産業・軍事・地政学・エネルギー・人口動態……
テレビ・新聞のニュースではわからない日本の全体像
世界が注目する〝日本の戦略〟を日本人は知らない。
 
●なぜ、台湾有事が「日本有事」なのか
●なぜ、日本は株高で、低賃金なのか
●なぜ、金利が上がると大混乱になるのか
●なぜ、日本産業の本当の強さが「隠れて」見えないのか
 
……さまざまな疑問に、「表面的な答え」ではなく、ものごとの繋がりから理解できるつくりになっています。
 
ニュースで流れる「経済状況」「あの政策」
が理不尽で理解不能に思えるかもしれません。
 
しかし、日本経済の「仕組み」、
抱えている「火種」、
そして起こっている「現象と原因」
がわかれば、進むべき「戦略」が見えてきます。
 
「思考停止」に陥らず
複眼的で
バイアスのない冷静な視点で
日本経済を読み解く。
そんな大人のための一冊です。

【目次】
序章 失われた30年の清算
1章 〈経済〉 好景気な不景気は、いつまで続くのか
─なぜ、日本は、海外から「安く」買われるのか
─なぜ、日銀は「金利」を上げられないのか
─なぜ、「株価」と「不動産」だけが上がるのか
─なぜ、「給料」が上がらないのか

2章 〈軍事・防衛〉 ――果たして、戦争に向かっているのか
─なぜ、「台湾有事」は、「日本有事」なのか
─なぜ、防衛費を倍増したの
─なぜ、防衛DXが最重要課題なのか
─なぜ、日本の「自主防衛」は進まないのか

3章 〈貿易・産業〉 ――「日本製」という強みは、今
─なぜ、「グローバル・サウス」に、世界の焦点が当たるの
─なぜ、製造業に復活の兆しがあるのか
─なぜ、日本は「モノづくり」で勝てなくなったの
─なぜ、日本の「食料自給率」は低いままなのか
─なぜ、「アニメ・ゲーム」「インバウンド」に可能性があるのか

4章 〈人口動態・社会〉 ――スクラップ・アンド・ビルドを実現できるか
─なぜ、「少子化対策」が不発なのか
─なぜ、「高度成長の遺産」が、リスクになったのか
─なぜ、「人」に投資できないの
─なぜ、経済大国なのに「幸福度」が低いの

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