台湾有事はすぐそこまで迫っている

「台湾有事=日本有事」の本当の意味…原油ストップ、半導体消滅、GDP10%消失の“最悪シナリオ”_4
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では、台湾有事が仮に起こった場合、果たして戦争になり得るのでしょうか。日本国際問題研究所(JIIA)が実施したシミュレーションは、外交交渉の限界と軍事的エスカレーションの冷徹なシナリオを提示しています。

紛争勃発後の外交交渉は極めて難航し、中国側が提示する停戦条件は、日本とアメリカにとって到底受け入れ難いものになります。

第1回交渉では、中国は停戦の条件として「台湾問題への不介入」を要求。その一方、日米へは「海上封鎖の解除」と「損害の補償」を求めますが、双方の主張は平行線をたどり、交渉は決裂します。

戦況が進むにつれ、中国側の要求はより強硬になります。シミュレーションでは、中国は「台湾、および周辺海域からの米軍部隊の無条件かつ一方的な撤退」を要求し、さらに日米に対して「台湾に中国の全面的な主権が及ぶことを承認」するよう迫ります。

これは実質的に南西諸島(沖縄県)周辺からの自衛隊および在日米軍の排除を意味し、日本の主権放棄に等しいものです。

したがって日本は外交的妥協の余地を失い、軍事的対応を強化せざるを得なくなります。日米の対応としては、東シナ海、および台湾東部海域での海上優勢の確保が最優先課題になります。これは、南西諸島の防衛とともに、米軍が台湾へアクセスするためのルートを確保し、台湾軍への補給や米軍部隊の展開を支援するためです。

さらに、日米側の対抗措置として、停戦を受け入れなければ「台湾を国家として承認する」という政治的なカードを切るシナリオも想定されています。

これは中国にとって最大のレッドライン(譲れない一線)であり、紛争が全面戦争へと拡大するトリガーになり得ます。

このシミュレーションが示すのは、一度紛争が始まれば、「局地的な衝突」で収束させることは極めて困難であり、日米中を巻き込んだ総力戦の力学が働くという現実です。
台湾有事は、日本にとって単なる外交問題ではなく、国家の存立そのものに関わる構造的な危機なのです。

そして、23年2月に米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は「(中国の習近平国家主席が)27年までに台湾侵攻を成功させる準備を整えるよう、人民解放軍に指示を出した」という見方を示しました。台湾有事が遠い先の話ではないことがよくわかります。


文/すあし社長 写真/shutterstock

この国の「なぜ?」が見えてくる日本経済地図
すあし社長
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2章 〈軍事・防衛〉 ――果たして、戦争に向かっているのか
─なぜ、「台湾有事」は、「日本有事」なのか
─なぜ、防衛費を倍増したの
─なぜ、防衛DXが最重要課題なのか
─なぜ、日本の「自主防衛」は進まないのか

3章 〈貿易・産業〉 ――「日本製」という強みは、今
─なぜ、「グローバル・サウス」に、世界の焦点が当たるの
─なぜ、製造業に復活の兆しがあるのか
─なぜ、日本は「モノづくり」で勝てなくなったの
─なぜ、日本の「食料自給率」は低いままなのか
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─なぜ、「少子化対策」が不発なのか
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