情報戦でも日本側の不手際が目立ち、事件の構図を印象づけられてしまった
容疑者が何を考えているか解明されていない時点で事件の性質を一面的に断定できるはずもない。だが対中外交に精通する日本側の関係者は今回は分が悪いと頭を抱える。
「中国は、相手から一つ、何かを仕掛けられたらそれを口実に三つも四つもやり返してきます。だから、そうした口実を与えないよう状況を管理することが対中外交では重要なんです」というのだ。
さらに今回は情報戦でも日本側の不手際が目立つとの指摘もある。
容疑者の侵入は午前9時に大使館が認知したが、大使館が麻布署に通報したのは3時間半以上も経った午後0時40分ごろだった。その間に中国側は容疑者に詳しく“尋問”していた可能性があるが、警視庁は身柄を引き渡された後も侵入事件が起きたこと自体を夜まで明らかにしなかった。
「結果、夕方5時の中国外務省の報道官会見で先に発表され、『殺害すると脅した』や『軍国主義がはびこっている』と言われ、事件の構図を印象づけられてしまったんです。
ほとんどの国内メディアは会見で事件を知ってから警視庁への取材に動きましたが、中国以外の海外メディアは中国外務省の発表内容をもとに記事を配信しています」(全国紙デスク)
中国の描く筋書きで事件が世界に伝えられたことで、情報戦でいきなり遅れをとったことになる。幹部自衛官による外国公館侵入は事実なので中国の抗議の前に分が悪い高市政権は、この展開の中でさらに押し込まれそうな争点もある。
村田容疑者が所属するえびの駐屯地は防衛省が2026年から長射程ミサイル「島しょ防衛用高速滑空弾」を配備すると表明している重要拠点だ。中国と対峙する「最前線」とも言える場に配属されたばかりの幹部自衛官は、何を考えて侵入したのか。
刃物を持って外国公館に侵入するなど、絶対あってはならないことである。徹底した動機の解明と自衛官教育の検証が必要だろう。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













