世界が「アメリカの赤字」をつくっている!?
アメリカの巨大な借金は国内の政治や予算だけの問題ではありません。実は、世界経済全体のダイナミックな仕組みそのものが、借金を支える構造になっているのです。これを理解するキーワードが「経常収支の赤字」、特にその大半を占める「貿易赤字」です。
そもそもアメリカは、世界最大の消費大国です。 国内では作りきれないほどの自動車、電化製品、衣料品、食品などを、世界中から大量に輸入しています。その結果、輸出額よりも輸入額のほうがはるかに大きい「貿易赤字」の状態が何十年も続いています。
これは見方を変えれば、アメリカが大量にモノを消費してくれるおかげで、日本やドイツ、そして中国といった「世界の工場」と呼ばれる国々が生産活動を行い、経済を成長させ、雇用を維持できているということを意味します。
ここで、あの「ドル」が再び登場します。
アメリカへ製品を輸出した国々の手元には、その代金として受け取ったドルが大量に蓄積していきます。企業や政府は、そのドルをただ金庫に眠らせておくわけにはいきません。少しでも有利に運用して利益を生み出したいと考えます。そこで、その莫大なドル資金の最も安全で確実なところに投資します。それが皮肉なことに、「米国債」なのです。
この流れを整理すると――
①アメリカが世界中から商品を輸入し、貿易赤字を垂れ流す。
②商品を売った日本や中国などの輸出国にドルが溜まる。
③輸出国は余ったドルを運用するため、安全な米国債を購入する。
④その資金がアメリカに還流し、再びアメリカの赤字を穴埋めする。
このような、巨大な国際的資金循環システムが完成します。
依然としてこの基本構造は揺らいでいません。アメリカの旺盛な消費と赤字が世界の経済を回し、その見返りとして世界がアメリカの借金を支える。このような、壮大な持ちつ持たれつの関係性が、世界経済の根底には深く横たわっているのです。
文/すあし社長 写真/shutterstock













