労働者には渋く、株主には大盤振る舞い?

東証プライム市場に上場する企業の2025年4~9月の純利益は前年同期間比で7%増加し、過去最高を更新した。通信や建設、金融などを中心に力強く伸びている。

しかし、大企業の労働分配率は40%にも達していない。「労働分配率」は企業の利益を人件費として従業員にどれだけ還元しているかを示す経営指標だが、中堅企業は60%、中小企業は80%程度だ。

一方で、大企業の株主への大盤振る舞いは止まらない。2025年は10月時点で自社株買い実施額が14.9兆円で過去最高となった。自社株買いは上場企業の株主還元策の一つで、市場に出回る株式を引き締める効果があるため、結果的に株価が上昇しやすくなる。

春闘が始まり会談する経団連の筒井義信会長(左)と連合の芳野友子会長(写真/共同通信社)
春闘が始まり会談する経団連の筒井義信会長(左)と連合の芳野友子会長(写真/共同通信社)
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つまり、大企業には労働者への還元余力がまだまだ残されていると見ることができる。連合が強気な目標を掲げている背景に、インフレと円安で企業が利益を出しやすくなっていることに加え、労働分配率が少なく、自社株買いで手厚い株主還元をしていることがあるだろう。大企業の労働分配率を引き上げられるかどうかは、今後の労使交渉の焦点の一つだ。