業界最安値となった「すき家」の牛丼

食材やエネルギー価格の高騰、円安などの影響で外食業界はこの数年、相次ぐ値上げラッシュが続いてきた。そんな中での“値下げ”のニュースに、SNSでは「久しぶりに値下げのニュースを見た」「ありがたすぎる!」と驚きと喜びの声があふれた。

一方で、あまりにも時代に逆行したこの施策には、疑問や懸念の声も上がることになった。

「米も牛肉も値上がりしているのにどうやって価格下げたんだろう?」

「この時世に値下げは嬉しすぎるけど、値下げの根拠って言うのかな、少し気になるね。どこ削ったんだろうか」

「無理な値下げの裏で誰かが泣いてるんじゃないかと考えてしまう」

今回の値下げで、牛丼並盛450円となったすき家は、主要チェーンの中で最安値になった。以下は現在の各社価格の比較だ(すべて店内飲食・税込)。

すき家:並盛 450円/大盛 650円
吉野家:並盛 498円/大盛 740円
松屋:並盛 460円/大盛 680円

価格の変遷を振り返ると、牛丼チェーンの値動きの激しさがよくわかる。すき家が2009年末から280円という低価格を打ち出すと、吉野家・松屋もそれに続き、一時は大手牛丼チェーン3店がすべて280円で並ぶ時期もあった。

その後、2014年の消費税増税のタイミングで吉野家、松屋は値上げをしたが、すき家は逆に270円に値下げして業界最安値を狙うという大胆な動きもあった。

業界最安値となったすき家(撮影/集英社オンライン編集部、以下同)
業界最安値となったすき家(撮影/集英社オンライン編集部、以下同)

しかし以降は値上げ傾向が続き、2015年に350円、2021年12月に400円、2024年4月には430円、さらに11月には450円へ。そこから2025年3月に再び480円へ値上げされていた。今回の450円は昨年11月水準への“戻し”とも言える。

過去には最安値で競っていた牛丼チェーンだが、その時期は終わり、今はそれぞれが個性豊かなメニューを作って差別化を図る方向性で競い、値段での争いは落ち着いていた。

なぜ今、値下げが可能だったのか。すき家を展開するゼンショーホールディングス広報の担当者は、メール取材に次のように答えた。