値上げも限界を迎えている居酒屋チェーン

「集客への影響が何より心配です。食料品の消費税がゼロになれば、お客さんの多くが宅飲みに流れてしまって、もうお客さんが来なくなります」

都内で複数の居酒屋店を運営する経営者は不安をこう口にする。消費税の減税は集客マイナスへの影響が何より大きいと見ているのだ。

食品スーパーやディスカウントストアはコロナ禍以降、総菜部門の強化を図ってきた。イオンは2024年6月に食の専門家チームが開発した商品をプロの料理人の製造技術で生産する新工場を稼働。「まいにち、シェフ・クオリティ」という新コンセプトで、高クオリティの総菜をイオンや「まいばすけっと」など関東エリア約1500店舗への提供を開始した。

近年の躍進がめざましい、イオングループが首都圏と北海道で展開する小型スーパー「まいばすけっと」(写真/Shutterstock)
近年の躍進がめざましい、イオングループが首都圏と北海道で展開する小型スーパー「まいばすけっと」(写真/Shutterstock)
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「ドン・キホーテ」のパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは総菜強化の一環として社内コンテスト「デリカの鉄人 X(クロス)」を実施。そこから生まれた商品を全国のドン・キホーテ、アピタ、ピアゴで販売している。

巷ではスーパーの総菜コーナーが充実していることに加え、近年のインフレ傾向で消費者の節約志向は高まった。そしてコロナ禍以降に宴会需要は消失。居酒屋店の集客状況はすでに厳しい。

ワタミのサブウェイを除く国内外食の2025年4-12月の客数は前年同期間比で1.9%減少した。ただし、客単価が上がっているために売上高は2.4%増加している。客数減を客単価で何とか補っているのが現状なのだ。

「庄や」を運営する大庄も2025年度の客数は0.5%の減少。客単価増で売上高は1.3%増だった。2025年9-12月の客数は4.5%も減少し、売上高は0.9%減と前年を割り込んでいる。

多くの居酒屋店は宴会客から、ふらりと立ち寄るフリー客を獲得する方向へと舵を切った。しかし、消費税の減税でスーパーの総菜に客をとられる可能性が出てきたわけだ。

大庄の2025年9-11月の営業利益率はわずか0.6%だ。黒字ギリギリのラインで経営している。こうした店は多く、人件費や水道光熱費が高騰する中で、値下げなどできる余裕もない。これ以上の客数の減少は中小の居酒屋店を中心に甚大な影響を及ぼすだろう。