花の1区を制したエースたち

佐久長聖は全国高校駅伝の最長1区を2015年から3年連続で制しています。ひとり目は關颯人でした。彼は中学時代から力のある選手でしたが、佐久長聖に来るのを最初は渋っていたんです。

どちらかというとカラダが強い方ではなかったんですけど、ポテンシャルは高かったですね。故障もあって、入学後は順調というわけではありませんでした。でも勉強もできる子で、きちんと考えながら競技に取り組んでいたと思います。

2年連続で全国高校駅伝のエース区間である1区を好走した關颯人。2015年は区間トップでタスキをつないだ
2年連続で全国高校駅伝のエース区間である1区を好走した關颯人。2015年は区間トップでタスキをつないだ
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全国高校駅伝は2年連続で1区を好走しました。2年時はそんなに練習を積んでいなかったので、「来年、区間賞を取るための1区だから」と言って送り出したんです。最後まで先頭争いをしたので、「区間賞を獲得したら来年どうしよう」とレース中によからぬことを考えてしまいました(笑)。最終的に区間3位でホッとした自分がいたのも事実です。 

翌年は關が29分08秒で区間トップに輝き、同2位の羽生拓矢選手(八千代松陰)、同4位の鬼塚翔太選手(大牟田)、同5位の阪口竜平選手(洛南)、同6位の館澤亨次選手(埼玉栄)らと東海大学に進学しました。この「黄金世代」を軸に両角速先生が駅伝監督を務める東海大学は箱根駅伝と全日本大学駅伝で優勝を飾ります。

關は大学でも故障に苦しんだようで、実力を発揮できない部分がありました。箱根駅伝は1年生で花の2区を担いましたが、箱根と全日本のVメンバーに入ることができませんでした。実業団のSGホールディングスでも苦労していますが、佐久のような環境で少しトレーニングをすればきっと良くなるはずです。本来の走りができるように期待したいと思っています。

2016年の全国高校駅伝1区は名取燎太が29分22秒で区間賞を獲得しました。1学年上の關とは少しタイプが違って、のほほんとした性格です。中学時代から実力はありました。全国高校駅伝は1年生のときに2区を担いましたが、スタート直後に転倒して、血だらけで帰ってきたのをよく覚えています。