強い早稲田を取り戻すために

2024年、指導を始めて20年になった。2004年3月に現役を引退。その4月に上武大学駅伝部監督となって、その後、12年間指揮をとった。

「競技者として」と「人間として」の成長を、育成の2本の柱として指導に当たり、就任5年目で予選会を突破し、念願だった箱根駅伝に出場することができた。

2011年の全日本大学駅伝対校選手権大会(全日本大学駅伝)では初出場で総合6位に入り、シード権を獲得した。

箱根駅伝のシード権、その先にある総合優勝には到達できなかったが、大学駅伝界で常連校としての礎を築くことはできた。2016年からは、創部された実業団チーム、GMOインターネットグループ陸上部の監督に就任した。上武大学時代にも指導した山岸宏貴がドーハ世界陸上競技選手権のマラソン日本代表として出場。橋本崚が2019年のMGC(マラソングランドチャンピオンシップ)で5位に入り、東京オリンピックのマラソン日本代表の補欠に選ばれた。

また、2020年の福岡国際マラソンでは吉田祐也が優勝を飾った。このように、個人、とくにマラソンでは日本代表クラスの選手を育成してきた。

しかし、その一方でチームとしての駅伝では、初出場だった2020年のニューイヤー駅伝で5位と奮闘したものの、なかなか優勝争いに絡めず、会社や応援してくれる人たちの期待に応えられなかった。個の育成とチームの強化とのジレンマがあり、疲弊してしまった。そして、現場を去ることを決めた。

指導からはしばらく離れるつもりが、2022年6月に母校・早稲田大学に指導者として戻ってきた。

最初は週に何回か、OBの1人としてアドバイザーのような立ち位置で指導に関わるはずだったが、前述のとおり、駅伝監督に就任することになった。

チームを立て直し、強い早稲田を取り戻すには、5年、いや、ひょっとしたら10年以上かかるかもしれない。

花田勝彦監督 Ⓒ花田勝彦『学んで伝える』撮影:和田悟志
花田勝彦監督 Ⓒ花田勝彦『学んで伝える』撮影:和田悟志
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