公明党も間違いなく国政では議席を減らす 

理念を掲げることは容易いが、それを現実の政治の中で血肉化させる作業は、泥臭く、困難を極める。今回の事態は、その冷酷な現実を、我々に突きつけている。

自公連立の解消は、巷で言われるような「熟年離婚」に喩えられるかもしれない。長年の同居生活で溜まった不満が爆発し、互いの価値観の違いが浮き彫りになった末の決別。

しかし、重要なのはその先である。公明党にとって、この離脱は後ろ向きな決別ではなく、未来に向けた新たなスタートを意味する。

自民党という大きな存在に遠慮することなく、独自の政策を打ち出し、是々非々の立場で他の野党とも連携する道が開かれた。それは、党の原点に立ち返り、国民の中に深く根を張る政党へと生まれ変わるための、またとない好機となるだろう。

もちろん、選挙協力を失うことによる議席減のリスク、というか間違いなく国政では議席を減らすだろう。斉藤代表も「(自身の)落選覚悟の決断」と語っているように、その道は決して平坦ではない。しかし、組織が生き残るためには、時に痛みを伴う外科手術が必要となる。

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一つの時代が、確かに終わった。しかし、それは新たな時代の始まりでもある。政治は生々しく、現実的な論理で動いているわけだが、それに抗うだけの突破力が高市総裁にあるのだろうか。

公明党の連立離脱は、イデオロギーの対立という単純な構図では語れない、組織の存亡をかけた指導者たちの苦悩と決断の物語なのである。そして、その決断が日本の政治にどのような変化をもたらすのか、我々は固唾をのんで見守る必要がある。

これから自民党と公明党はどんな運命を歩むことになるのだろうか。目が離せない。

文/小倉健一