捜査本部は当初“人違い殺人”を疑っていた
1999年11月13日の昼すぎに、3階建てアパート2階の自宅で首を切られている奈美子さんが見つかった。直後から取材に当たった事件記者が振り返る。
「アパートの大家でもある奥さんが全部で6部屋ある住民に柿をおすそ分けに回っていたんです。午後2時半ごろ、高羽さんの部屋に声をかけたところ、返事がないのでドアを開けると、台所で倒れた奈美子さんの足が見えたそうです。
顔の下あたりに新聞紙ほどの広さに血が広がっていて、救急車を呼んだと言ってました。刃物で切られたとは思わず、血を吐いたと思ったそうです。そのそばには当時2歳だった長男の航平君がおとなしく座っていたといいます」(記者)
Gパンにトレーナーという屋内着だった奈美子さんは救急隊員が現場で死亡を確認。室内は物色された形跡はなく、愛知県警西警察署捜査本部は殺害自体が目的だったことに重点を置いた。だが、「怨恨」と「通り魔」のどちらの筋からも有力情報はなかった。
「高羽さん夫婦は事件の約4年前にアパートが新築された時に新婚で入居してきました。事件があったのは土曜日でしたが悟さんは出勤日で朝から家を出ていました。
捜査では奈美子さんは社交的で友だちが多いことがわかり、恨みがありそう人物は悟さんの知人も含めて全然浮かんでこないと刑事らはぼやいていました。
捜査本部は“人違い殺人”まで疑い、隣室の住民に狙われる事情がないか調べたほどです。奈美子さんが内側からカギを開けたとみられることから通り魔も考えにくく、動機面から容疑者にたどり着けなかったんです」(前出・記者)













