「批判めいたことは、同じ党の人間として、申し上げることは致しません」
「自分としてあれ以上のことはできませんでしたということが言えるのは、それはありがたいことであると思っております」
講演の冒頭、自らの政権運営をそう振り返った石破氏。政権が注力したこととして、①自衛官の処遇改善、②米国との関税交渉、③最低賃金の引き上げ、④防災庁設置に向けた取り組み、⑤米価抑制、⑥関西万博と語った。
そして、退陣間際の今年10月に発表した「戦後80年所感」をめぐっては、高市早苗総理(64)をはじめ、自民党の保守派から、石破氏がメッセージを発表することに、否定的な意見もあがっていた。それでも、あえて「所感」をとりまとめた理由は何だったのか。
若き日に木曜クラブ(旧・田中派)のスタッフを務めた石破氏。日中戦争に従軍した経験を持つ田中角栄元総理が「あの戦争に行ったやつが国の中心にいる間は、この国は大丈夫だ。だけど、あの戦争に行ったやつが、この国の中心からいなくなった時が怖い」と語っていたエピソードを振り返り、こう警鐘を鳴らした。
「なんで、絶対に勝てない戦争に突き進み、300万人の人が死に、ああいうことが起こったのかということを、今検証しないとどうするんだ、という思いがありました(中略)責任の所在が不明確な体制においては、大きな声、勇ましい声、そういうものが議論を支配するということは、日本社会往々にして起こることでございます」
中盤からは、篠原氏が質問者となり、質疑応答の時間になった。自民党内でもリベラル派と評価される石破氏と、保守派の高市氏の政治スタンスは“水と油”と評価されてきた。その点を踏まえ、篠原氏が高市政権の評価を問うと、石破氏はこう答えた。
「それは、我々が選んだ総理総裁ですから、そのことについて批判めいたことは、同じ党の人間として、申し上げることは致しません」














