日本で広がらない無痛分娩に東京都が助成金
1847年にスコットランドの医師が臨床試験を行なったことで世界的に広がった「無痛分娩」。現在、先進国ではこの出産法が主流で、フランスでは8割、アメリカでは7割、イギリスでは6割の妊婦がこの分娩を選択している。ある産婦人科医は言う。
「日本でなかなか『無痛分娩』が浸透しないのは医療体制が整っていないのはもちろんのこと、現時点でまだ保険適用されていないため自然分娩に比べ費用が10〜20万円ほど高くなるためです。
去年5月に俳優の生田斗真さんがSNS上のファンとの交流で、出産を控えた妊婦に『旦那様に無痛おねだりするか』と発言したことが炎上したように、日本ではまだ『お産はお腹を痛めて産んでこそ』という価値観があるからですね」
東京都庁の福祉局子供・子育て支援部家庭支援課は2023年にも卵子凍結への支援で最大30万円の補助金を出すなど少子化対策をしている。今回の無痛分娩の費用助成も、無痛分娩を希望する女性が安心して選択できるよう決めたものだろう。
公式発表には「東京都が公表する対象医療機関123院のどこかで『無痛分娩』で出産する女性を対象に最大10万円の助成金を出す」とある。
この東京都の対象医療機関とは、厚労省が定めた「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」に基づく自主点検表の項目を満たした機関であると共に『JALA』という無痛分娩関係学会団体連絡協議会の研修を受けている病院のことなのだという。医師免許を持ち外科や産婦人科としての経験も持つ弁護士法人富永愛法律事務所の富永愛弁護士は言う。
「『無痛分娩』は麻酔をかけて痛みを和らげる分娩法で、欧米諸国では麻酔科医と連携して行なうケースがほとんどですが、日本では産科医が自ら麻酔を行なうクリニックもあります。この『JALA』の研修を受けた医療機関は麻酔医の確保がある程度はされているとはいえ、東京都はおそらく『無痛分娩』を行なうすべてのクリニックや産科医に、ここでの研修を受けるよう促したいのでしょう」













