手もとの紙を読むために500回以上も下を向いた小泉氏
今回の総裁選で、特徴的だったのは小泉氏が記者会見や討論会でひたすら「カンペ」を読み続けたことだろう。
先月20日の出馬表明会見では、質疑応答含めて1時間ほどの会見で、選択的夫婦別姓など持論をすべて封印した上に、手もとの紙を読むために500回以上も下を向いたことが話題になった。
その「カンペ」を書いているとされるのが木原誠二・自民党選挙対策委員長だ。党選対委員長といえば党四役といって、幹事長、政調会長、総務会長と並ぶ要職だ。
木原氏は旧岸田派に所属し、岸田政権を官房副長官として支えた。事実上、岸田政権の政策をすべて仕切っていたと言ってもいいだろう。
石破政権でも経済政策に弱い石破首相に代わって、政権の途中から経済政策を仕切りだした。岸田政権と石破政権の経済政策が「物価上昇を上回る実質賃金の上昇」など、うりふたつなのは、作者が同じだからだ。
そんな木原氏が石破政権の党四役だったにもかかわらず、今回の総裁選ではいち早く小泉陣営に駆けつけた。
財務省の官僚時代に面接担当者として採用した、後輩の村井英樹前官房副長官や小林史明元デジタル副大臣ら旧岸田派の中堅若手を引き連れての陣営入りだった。
自分の政策をカンペに書いて話す小泉氏はやりやすい
木原氏が真っ先に小泉陣営に駆けつけたのは、同じ旧岸田派から総裁選に挑戦する林芳正官房長官と折り合いが悪いからという見立てもある。ただ、それだけではないようだ。陣営関係者はこう解説する。
「小泉さんは物価高など経済政策についてまったく自分の考えがない。木原さんや村井さんが言ったり、書いたりしたものをそのまま受け入れるから、木原さんにとって気分が良いのだろう」
木原氏は、東大から財務省、英国留学などを経て自民党から2005年に立候補して当選。財務省の同期には国民民主党代表の玉木雄一郎氏がいる。
永田町では、プライドが高く、自分の政策に異論を言われると極度に腹を立てたり、へそを曲げたりすることで有名だ。その点、異論などひと言も言わずに自分の政策をカンペに書いて話す小泉氏はやりやすいのだろう。