高市「3日待ってほしい」、斎藤「この場で決めて」

 「いったん白紙にして、これまでの関係に区切りをつける」

10月10日、自民党の高市早苗総裁と公明党の斉藤鉄夫代表の党首会談は、国会内で1時間半続いた。会談後、斉藤氏は記者会見を開き、連立離脱を公表した。26年間続いた自公による連立政権の崩壊が確定した瞬間だった。政治史の大きな転換点の1ページで、永田町に激震が走った。

自民党の高市総裁(自民党広報SNSより)
自民党の高市総裁(自民党広報SNSより)
すべての画像を見る

一方で、連立離脱を「一方的に伝えられた」と嘆く高市氏。会談で斉藤氏は、公明党が提示した政治資金規正法の改正案を「丸のみ」することを求めた。

「3日待ってほしい」

すがる高市氏に対して、「いまこの場で決めていただきたい」と一歩も譲歩の姿勢をみせない斉藤氏。高市氏が粘ったため、会談自体は90分という長丁場だったが、お互いの議論は平行線だった。

創価学会関係者によると、10日の協議は「破談」することが決まっていたという。経緯をたどってみよう。

高市氏、まさかの勝利に公明大慌て 

4日の自民総裁選でおおかたの予想に反して高市早苗氏が小泉進次郎氏を打ち破って勝利した。関係者によると、公明・創価学会内部はこの時点で大慌てになったという。というのも多くの政治ジャーナリストらの予想と同じで公明内部も小泉氏の勝利を確信していた。

小泉氏の後見役である菅義偉元首相は公明、学会ともに太いパイプを持っている。小泉氏も公明で同じ神奈川の三浦信祐選挙対策委員長(50)とは同年代で定期的に食事をするなど関係は良好だ。

そのため、総裁選の終了直後には小泉氏が公明党本部を訪れてあいさつを交わす予定だった。ところが、10日午後2時過ぎに決まった結果は違った。

高市氏が新総裁に決まると、議員会館の自室のテレビでその瞬間を見届けたという斉藤代表はしばらくぼうぜんとしていたという。

そして、小泉氏を想定して総裁選決定直後に設定した自公党首会談はそのまま高市氏に引き継がれた。

そこで、公明は慌てて三つの条件を整理した。①政治とカネ②靖国神社を含む歴史認識③外国人との共生だ。②と③では折り合えたが、①の政治とカネ、公明が求める企業団体献金の規制を高市氏は呑むことが出来なかった。