大麻販売店の生き残り戦略
再規制の影響で、売上に陰りが見え始めたディスペンサリー業界。そのなかでKen氏は「なんとか戦えてます」と語るものの、「現状維持は長くは続かないかもしれない」と懸念を抱いている。
「チームでは、すでにグッズ販売やEC展開も含めた“Bプラン”の話し合いを始めています」
ブランド力を活かした多角化──これがKen氏らが考える生き残りの道だ。今後、ディスペンサリーは淘汰が進み、「ただ販売するだけ」の店は消えていくかもしれない。
大麻カルチャーの行方
規制強化の波は、カルチャーそのものを根絶やしにはしない。個人使用や家庭栽培が許されている限り、ローカルなコミュニティは地下で生き続けるだろう。Ken氏は語る。
「厳しくなるのはあくまで“事業者”だけ。地元の若者が自分たちで育てて楽しむ流れは、むしろこれからも続くと思うんです」
外国人事業者とローカルコミュニティ──この二極化が、今後の大麻カルチャーの姿かもしれない。
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新しいカルチャーには、常に社会的な背景や法的リスクが伴う──Ken氏の言葉は、利用者自身の慎重な判断と、事業者との健全なコミュニケーションの重要性を改めて問いかけている。
現場で語られる“大麻再規制”最前線のリアル。その向こうにあるのは、制度とビジネス、そしてカルチャーがせめぎ合う、変わりゆくタイの今だった。
※なお日本では大麻の所持および使用は禁止となっている。詳しくは外務省ホームぺージ「タイの大麻に関する規制緩和(注意喚起)」を参照。
取材・文・写真/伊藤良二