「入浴」は脳卒中・心筋梗塞のリスクを下げる
そもそも、入浴には健康上のメリットがある可能性が示唆されている。
その1つが痛みの緩和である。例えば、線維筋痛症(身体のあちこちの広い範囲に痛みが出て、身体のこわばり、疲労感、不眠、頭痛、うつ気分などが生じる原因不明の病気)の患者において、浴槽入浴することで痛みが緩和されたという研究結果がある。
変形性関節症の患者においても浴槽入浴が痛みを改善する可能性が示唆されている。これらの研究の質は必ずしも高くないものの、実際に症状が改善するか試してみる価値はあると考えられる。他のタイプの痛みでも浴槽入浴によって改善する可能性がある。
また、浴槽入浴には別のメリットも存在する。浴槽入浴やサウナ浴を行うと血管が拡張し、その結果として血圧が下がる。水圧によって血流も改善する。これらの作用によって、脳卒中や心筋梗塞などの脳や心臓の病気のリスクが下がるという報告がなされているのだ。
2020年に日本で発表された研究では、約3万人の年齢40~59歳の人を1990年から2009年まで追跡し、入浴回数と脳卒中や心筋梗塞の発症率との関係を評価した。この研究の結果、頻繁に入浴する人の方が、あまり入浴しない人よりも脳卒中や心筋梗塞を起こす確率が低いことが報告されている。