「嵐の大江戸船めぐりの巻」(ジャンプ・コミックス第67巻収録)

今回は、悪天候をついて格安の東京湾屋形船遊びに出発した両さんたちが、アドベンチャー映画もかくや……という波乱に満ちたひとときをすごすお話をお届けする。

この屋形船、もともとは貴族が川や池に浮かべた船上で、歌を詠んだり音楽を楽しんだりする、なんとも雅な遊びのための道具だった。

江戸時代中期以降は、幕府が積極的に行った河川の整備や庶民の経済力の増加に伴い、次第に人々に親しまれる娯楽となっていった。屋根のついた大型の船を使うスタイルも、この時期に端を発しているようだ。

第二次世界対戦の敗戦から20世紀後半の高度成長期にかけては、まずは経済的な余裕のなさから、そして水質の悪化や河川の再整備によるコンクリートで固められた建物といった要因による風情の喪失により、屋形船での遊びは下火となった。

だが、バブル景気の訪れによるかつての大名遊びの復活や、東京湾の開発による観光スポットの増加などによって、1980年代後半以降は、屋形船による遊楽は復活していった。

本作を読んだあとには、涼を求めて船遊びに出かけてみるのも一興だ。あまり知られていないかもしれないが、お一人様で利用できる乗り合い制の屋形船もたくさんあるのだ。

ちなみに両さんは、南太平洋のど真ん中、オーストラリア大陸と南米大陸の間くらいにあるタヒチ島近くのファヒネ島まで、屋形船で向かったことがある。東京湾近郊での航行を前提にしている屋形船で、9000㎞におよぶ航海をどのように成し遂げたのかは……ぜひ読んでお確かめいただきたい。

「南国タヒチで夏休み!!の巻」(ジャンプ・コミックス第117巻収録)より。中川たちは麗子の大型クルーザーで出発。両さんやボルボ、左近寺らは、東京湾からこんな調子で太平洋に出て、そのまま南太平洋へと向かうが……
「南国タヒチで夏休み!!の巻」(ジャンプ・コミックス第117巻収録)より。中川たちは麗子の大型クルーザーで出発。両さんやボルボ、左近寺らは、東京湾からこんな調子で太平洋に出て、そのまま南太平洋へと向かうが……

それでは次のページから、両さんたちと一緒に危険すぎるクルーズをお楽しみください!!