Pol.is:橋渡しする意見
台湾でのデジタル民主主義の実践例にvTaiwanが挙げられるが、これは合意形成のプロセスを可視化するPol.isと呼ばれるソーシャルメディア・ツールを使用している。
Pol.isでは、ある投稿について反応できるのは「賛成」「反対」「パス・不確定」の3つのみである。これらの投票は集計されグループにまとめられる。ユーザーは3つの選択肢のうちいずれかをクリックすると、AIがリアルタイムでつくり出すオピニオン・マップのグループ上に自分のアイコンが位置づけられる。
次の図は2015年にUberが台湾に進出した時に行われた議論のオピニオン・マップである*1。
Pol.isの特徴は、マップ上に各種グループの代表的な発言が表示されるだけでなく、自分たちと他のグループではどこに主要な相違点があり、どこに歩み寄りの余地があるかも理解できる点である。
追加の質問をすることで意見分布の詳細が明らかになると、「橋渡しする意見」、つまりどのグループでも同意を得られそうな意見をつくっていくことができる。複数の意見グループから賛成される意見をみんなで考えていくことによって、グループ間を結びつけ、「敵か味方か」という二項対立ではない熟議が促されるのだ。
このような熟議プラットフォームは、台湾だけでなく主要なAIの方向性など、重要な政策や設計の決定を行うために各国で使用されはじめている*2。