Pol.is2.0
さらに、意見をグループ化するPol.isの機能をより発展させると、オンライン上の議論をより洗練させ、合意形成を促進するツールをつくることができる。それがPol.is2.0だ。
これまで見てきたように、Pol.isは自分の意見や他人の意見をグループにまとめ可視化することによって、橋渡し的な意見を提供したり、目立っていない新しい意見を引き出したりすることができる。
Pol.is2.0の特徴は、ある投稿についての意見を投稿したあとに、そのフィードバックとしてヴァーチャル・オピニオン・リーダーと対話できる点である。Pol.isで集められた意見を大規模言語モデルを使って要約し、ユーザーと熟議できる仮想のアバターをつくり出すことができるのだ*4。
このアバターは、ユーザーとの熟議や投稿された意見から学習することによって、より洗練された対話のパートナーをつとめるようになる。
たとえば○○反対派の人は、○○賛成派がその主張をどのように正当化しているのか、アバターと対話することで知ることができる。それによって「自分と意見が異なるのはあいつらが馬鹿だから」という浅薄な理解をあらため、どのように説得すればいいのか熟考することができる。また、対話の中で自身の考えを修正することもあるだろう。
このアバターは、ともすればAI代議士として、民主主義の発展ではなくテクノクラートによる統治を強化しうるツールである。
しかしPol.is2.0は、「AIに政治を任せよう」ではなく、あくまで人間が熟議をするためのツールである。というのも、テクノロジーによって拡張された熟議には限界があるからだ。