「メガソーラーの反対運動で知り合った人たちが信者になっていました」

田久保氏は2019年の伊東市議選に初当選、2023年に最下位で再選を果たし、2期目途中の今年5月25日投開票の市長選に立候補して1万4684票を獲得して当選した。敗れた現職の小野達也氏(62)の得票数は1万2902票で、僅差といえる内容だった。

その新市長就任を伝える「広報いとう」7月号は、田久保市長プロフィールを「平成4(1992)年 東洋大学法学部卒業」と紹介。しかし、19人の市会議員全員に、「中退どころか除籍だった」と田久保氏の大卒資格に疑義を唱える文書が届き、杉本一彦市議がこの問題を同月定例会の代表質問で追及した。

田久保氏は当初「怪文書には対応しない」と疑惑を退けようとしたが追及が止まず、7月2日になって「卒業は確認できず、除籍されていた」と認めた。

しかし田久保氏はここでも「市長選では東洋大卒と自ら公表していないので経歴詐称には当たらない」との抗弁を繰り返し、事態は泥沼化。7日、伊東市議会は田久保市長に対し「辞職勧告」と百条委員会の設置の議案を提出、いずれも全会一致で可決した。

田久保氏(本人SNSより)
田久保氏(本人SNSより)
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そもそも田久保氏は、4月に市長選立候補表明をした際に報道機関に提出した経歴に「東洋大学法学部経営法学科卒」と記載しており、自分で書いた詰将棋に追い込まれているに等しい。彼女の10年来の知人は取材にこう証言する。

「彼女が大学卒業していないのも知っていたから、今回の騒動も『ああ、バレちゃったんだ』と思っただけですね。何せ本人が昔、『まあ、卒業してないんですけどね、ハハハ』みたいに軽く告白してましたから。本人が出身を東洋大学法学部だと言うので、法律に詳しいのかなと話題を振ったらそんな返答をしたんです。彼女は民主主義についても『銀河英雄伝説』で学んだと公言していたくらいなので、法律の専門知識も乏しそうでしたよ。外面はすごくいい感じの人ですが、話を盛って言う傾向のある方でした」

空気を読む能力には長けていたのだろう。知人が続ける。

「人を惹きつける何かはあるんでしょう。メガソーラー建設計画に反対する団体の代表をやっていたんだけど、これもいつの間にか元の代表から引き継いで代表になっていた。彼女を慕って集まってくる人たちが確かにいたし、そういった人たちの『ヘイト』を誘導することに巧みだった。

学歴詐称の目的は詳しくはわからないけど、選挙対策だったんじゃないかと思っています。前市長も前々市長も高卒だったから、“大卒”の田久保さんについて『やはり大卒はインテリだな』と言う人たちもたくさんいましたから。伊東市の選挙で大卒ってレアなんで、それを武器にしたかったんじゃないかって思います。

まあ、田久保さんはメガソーラーの反対運動で知り合った人たちが信者になっていましたしネットの利用もうまい。そういった部分には長けていたんですよね。NHK党の立花孝志氏とか昨年の都知事選で善戦した石丸伸二氏みたいなタイプに近いと思いますよ」

広報「いとう」より
広報「いとう」より