社長だけど、ふつうの中学生。勉強との両立と「恋バナ」の日常

――社長業と中学校の学業、両立するのは大変ではありませんか?

今は公立の中学校に在籍しながら、週に3回、通信制のN中等部(オンラインスクール)に通っています。N中はフリースクールに近い雰囲気があって、通学スタイルも柔軟。公立には中学1年の後半まで通っていたのですが、起業してから好奇な目で見られることもあって、学校に行くのが難しくなってきたんです。会社のことも並行してやっていきたいと思い、N中等部に行くことを決めました。

勉強自体は……正直、得意ではないです(笑)。N中等部では5教科のうち、3教科だけテストを受けるスタイルなので、なんとかやれています。家庭科とか音楽、国語は好きなんですけど、理科と数学はちょっと苦手です。

水野舞さん(写真/本人提供)
水野舞さん(写真/本人提供)

――これまでお話を聞いていても、とても中学生とは思えないしっかりした印象です。「すごいね」と言われることも多いと思いますが、ご自身では“まだまだ子どもだな”と感じる瞬間はありますか?

めちゃくちゃありますよ! 実は今日の取材も、うっかり忘れていて、直前までバタバタしてました(笑)。全然しっかりなんかしてないです。

N中等部の友達とは、ほんとに“ふつうの中学生”として過ごしています。あだ名で「社長」と呼ばれることも多いんですけど、実際に社長だから、愛称として受け止めています(笑)。いつも5人組でつるんでいるんですけど、恋バナしたり、アニメの話をしたり、自分が「好き!」と思うトピックの話で盛り上がっていますね。

前は「大人の前ではしっかりしなきゃ」と背伸びしてた時期もありました。でも今は、敬語とか最低限のマナーは守りつつ、あまり切り替えすぎずに、自分らしくいることを大事にしています。

友だちと休日を楽しむ水野さん(写真/本人提供)
友だちと休日を楽しむ水野さん(写真/本人提供)

「自分の経験を、誰かのチャンスに」 

――水野さんが生み出した「マイヤリング®」は、約2年で売上800万円を達成したとのことですが、今後の展望について教えてください。

「若いからすごい」と言われるのはありがたいけれど、「大人になったらどう見られるんだろう」とふと不安になることもあるんですが、『マイヤリング®』事業は今後ももっと成長させていきたいと思っています。

でもそれ以上に、いまは「子どものアイデアを形にできる仕組み」を広げていきたいと考えています。

私は入院生活のなかで、年上の子や大人と関わる機会が多くて、たまたま恵まれた環境にいました。父の知人に弁理士の方がいたり、ビジネスの話をしてくれる大人が身近にいたり……。だからこそ、自分のアイデアに自信が持てたし、発明や起業にもつなげられたと思うんです。

今度は私が、そういう環境を“つくる側”になれたらと思っています。子どもが自由にアイデアを出して、それを「ちゃんと形にできる」仕組み――私はそれを「i育事業」(※「アイデアを形にする」の略)って呼んでいるんですけど、そうした活動も少しずつ広げていきたいです。

プレゼン中の水野さん(写真/本人提供)
プレゼン中の水野さん(写真/本人提供)
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――特許取得、起業、そして社会貢献。どれも大人顔負けの実績を持ちながらも等身大の中学生の素顔が垣間見える。水野舞さんの挑戦はまだ始まったばかりだ。

取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio)

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