20歳の学生起業家がサービスを運営
ギグワークアプリ「Stchar!」は専用のバッグにiPadを入れ、広告動画を再生しながら所定エリア内を歩くだけで、その活動時間に応じた報酬を得ることができる。このアプリを利用して稼いだお金は、活動終了後、チャージ式VISAカードアプリ「Kyash」に即日入金。「Kyash」に入金された残高は、VISAやQUICpay利用可能店舗で使用でき、ATMから現金として引き出すこともできる。
この、今までありそうでなかったサービスを開発したのは、2020年にディップが開催した学生起業家コンテスト「GAKUcelerator(ガクセラレーター)」にて最優秀賞を獲得した学生企業・株式会社Wanna Technologies。その代表取締役社長・CEOの小野塚 悠(おのづか とわ)氏と、取締役・COOの照井俊哉(てるい としや)氏は、なんと現在20歳の学生起業家である。さらに、取締役兼CTOの牧野賢士(まきの けんじ)氏も経営に加わって、アプリの開発などを進めている。
「『Stchar!』は、街中で歩いてお金を稼ぐことがメインのサービスです。それを実現するために、色々な技術を組み合わせてアプリを開発し、iPadを専用のバッグに入れて街中を歩くだけでお金がもらえるようにしました」(小野塚氏)
「歩き終わって自分がいくら稼いだか分かって、決済サービス『Kyash』と連携してすぐにお金を使えるようにしたのも大きなポイントです」(照井氏)
ビジネスアイデアの原点は「Tシャツ」
小野塚氏と照井氏が会社を立ち上げたのは、高校3年生のとき。N高(N高等学校)出身の同級生で、小野塚氏が高校2年生の時に参加したスタートアップコンテストで、別のプランで参加していた照井氏と偶然会い、親交を深めるように。その後、「マイナビキャリア甲子園(学生が参加可能な中で国内最大級のビジネスコンテスト)」に照井氏が小野塚氏を誘って以降、同じチームで活動するようになり、Wanna Technologiesを共に立ち上げた。
「Stchar!」のアイデアは、小野塚氏がもともと描いていた「企業の広告が入ったおしゃれなTシャツを着て、街を歩くことで報酬を得る」という構想だった。
2020年の「GAKUcelerator」参加時も、技術的負担の少なさからTシャツへの広告印刷を構想していたが、メンターを交えて議論する中で「着てもらえるか分からない」「革新的な技術が必要」などの問題が浮上。悩んでいたところ有名企業と議論を交わす機会があり、「iPadを使ってみてはどうか」というアドバイスを得たことで、現在の形に行き着いた。
しかし、本当の苦労の始まりはここからだった。