将来の発症率が8倍にも激増!? 少年野球も時代に合わせてルール変更

「よく子どもの目が赤くなっているのは、紫外線性角膜炎であることが多いですね。瞼裂斑(けんれつはん)は早いと小学1年生くらいから現れて、陽射しの強い沖縄なんかは、小学生の30%くらいが発症します。

子どものうちに発症しなくても、小さいころに紫外線をよく浴びた人は、あまり浴びていない人に比べ、大人になってからの翼状片や白内障の発症率が5~8倍も高いんですよ。

だから、早く予防するのはすごく大事で、子どものころから紫外線対策をする重要性は、我々もずっと発信し続けています」

こうした発信が実を結んだのか、昨今、子どもたちを取り巻く環境では、サングラス着用が広がりつつある。

取材に訪れたのは、複数の区にまたがって多くの野球場がひしめく隅田川の川沿いだ。この近辺にて、紫外線を浴びる機会の多い野球少年とその保護者に話をきいたところ、現在の少年野球ではサングラス着用が認められているという。

この近辺の野球少年は、スカイツリーを見ながら試合や練習ができる羨ましい環境にある(撮影/集英社オンライン)
この近辺の野球少年は、スカイツリーを見ながら試合や練習ができる羨ましい環境にある(撮影/集英社オンライン)

「都の少年野球の連盟が、サングラスの着用を許可してるんです。6〜7年くらい前からかな? 子どもの体を気遣ってという“時代”ですよね。

どのメーカーのものを着けてもいいんですが、うちのチームが属する区では、区の連盟推奨のものが3000円くらいで売っています」(40代男性・コーチ)

「サングラスは季節にかかわらず着用OK。陽射しの強さが昔の夏とは違うし、子どもの健康や安全に配慮したんでしょう。低学年はあまり見かけないけど、高学年になるとけっこう着けてるね。多いのは外野手だけど、内野手でも陽の向きや球場の立地によっては着けてるね。

ウチは3人子どもがいて、みんな野球をやってたんだけど、1番上の子の時代はサングラスなんて見なかったよ。もし着けてる子がいたら『何気取ってんだよ!(笑)』って茶化されて、コーチも外すよう言ってたと思う」(50代男性・保護者)

一帯にあるグラウンドの1つ・隅田公園少年野球場。終戦4年後にできた日本初の少年野球場で、少年時代の王貞治もよく練習したという(撮影/集英社オンライン)
一帯にあるグラウンドの1つ・隅田公園少年野球場。終戦4年後にできた日本初の少年野球場で、少年時代の王貞治もよく練習したという(撮影/集英社オンライン)

上記の男性たちと別の区の審判員は、詳しい着用ルールを教えてくれた。

「ピッチャー返しが顔に当たったとき、破片が目に入るなどのリスクがあるので、以前は投手のサングラス着用は禁止だったんですよ。全面解禁されたのは2年前から。ただ、投手でも偏光グラスはNGです。反射で打者や捕手がまぶしくなるおそれがあるので」(40代男性・審判員)

この周辺は複数の野球場があることから、多くのチームが練習・試合を行なう。その後は、試合を終えた少年たちと保護者に話をきき、実際のサングラスも見せてもらった。