「派出所バンド結成!!の巻」(ジャンプ・コミックス第102巻収録)

今回は、両さん達が商店街のイメージソングを制作するお話をお届けする。

お読みいただく前に、本作中で交わされる会話や単語の意味をいくつか解説しておこう。

カーペンターズ
1970年代のアメリカの兄妹デュオ。激しいロックが全盛の時代に、ソフトで洒落た数々の名曲を生み出した。妹のカレン・カーペンターが1983年に拒食症で亡くなり、活動に終止符が打たれた。

リードタンバリン
小型の太鼓にシンバルがついた打楽器・タンバリンを担当する者。1960年代のグループサウンズブームの頃、バンド「ザ・スパイダース」のメンバー、井上順が楽器を弾けないので「リード」タンバリン担当として自虐的に名乗った。

ウィ・アー・ザ・ワールド
1985年にアメリカで発売された歌で、著名なアーティストが集結し、アフリカの貧困と飢餓の解消のために制作された。

ボーイズ
ギターや三味線などを弾きながら数人のメンバーで行う、歌謡漫談のグループの形態。「○○ボーイズ」というグループ名が多いことから、「ボーイズもの」と称される。

DAT
デジタルオーディオテープ(Digital Audio Tape)の略。カセットテープより小さなメディアを使用する、録音・再生の規格。CD以上に高音質な録音・再生ができたため録音現場で使用されたが、民生用としては普及せず、1990年代の10年ほどで姿を消した。

トラックダウン
通常、音楽の録音は、一斉に演奏せずに、ドラム、ベース、キーボード、ギター、ボーカルと順番に別々の録音領域(トラック)に行う。トラックダウンとは、録音し終えた全ての音を左右の2つの音にミックスする作業を指す。

なお本作冒頭で、音楽制作をするくだりのやりとりが描かれるが、実はあまりよろしくない。

署長と部長が商店街の面々との酒席で、楽曲と音源の制作を安請け合いしてしまう。
「制作にはお金がかかるから署員たちに(タダで)頼みたい」「中川や麗子ならプロ並みの技量があるのでできるだろう」……こういったやりとりは、現実でも無数に起こっているのではないか。

他人のやる気や善意、技術を搾取してなんとかしようとする考え方は根本的に間違っているし、まず確実に失敗に終わる。

しかし本作の場合、麗子はプロの演奏家としての実績があり、中川&麗子のツテで世界的ミュージシャンが参加してるのだが……。

それでは次のページから、亀有で行われた歴的レコーディングのひと幕をお楽しみください!!