肝臓に悪い「ヤバイ酒」の見分け方

じつは、お酒の中にも「肝臓に悪いお酒」と「肝臓に悪くないお酒」とがあります。その見極めポイントのひとつはやはり糖質量。なるべく糖質の少ないお酒を選ぶほうが肝臓にかかる負担が少なくなるのです。

広く知られているように、アルコールは醸造酒と蒸留酒に大別され、ビール、日本酒、ワインなどの醸造酒には糖質が含まれています。

一方、ウイスキー、ブランデー、焼酎などの蒸留酒には糖質は含まれません。ですから、「肝臓への負担が少ない」という点では糖質ゼロの蒸留酒を選ぶほうがいいということになります。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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ただし、蒸留酒ではあっても、チューハイやカクテルには果汁やリキュールで割ってあるものが多く、果糖ブドウ糖液糖が使われていることも少なくありません。蒸留酒を割って飲む場合には、こうした部分の糖質量にも気をつけるべきでしょう。

また、最近はアルコール度数を低く抑えてジュースのような甘さで飲みやすくした350㎖缶の「カクテルサワー」が数多く発売されています。先にも述べましたが、こうした糖質の多いアルコールを毎日のように飲んでいたら、それだけで脂肪肝が進んでしまいかねません。梅酒や甘酒、甘い缶チューハイを含めて「甘いアルコールは肝臓によくない」と覚えておくべきでしょう。

さらに、肝臓にとってもっとヤバイのが「ストロング系缶チューハイ」です。近年、安いし甘いし、グイグイ飲めて手っ取り早く酔えると人気のようですが、この度数のアルコールを「気軽にグイグイ」と飲んだりしたら、肝臓が大ダメージを被るのは避けられません。

9%の缶チューハイ500㎖の純アルコール量は36gあるのですが、これはアルコール度数43%のウイスキーロック(30㎖)の3.5杯分に相当します。毎日何本も飲んだりしたら、もうアルコール性肝障害まっしぐらではないでしょうか。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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しかも、ストロング系缶チューハイには、果汁やフルーツフレーバー、果糖ブドウ糖液糖などを添加して飲みやすくしたものも少なくありません。ですから、肝臓にしてみれば、「アルコール度数」と「糖質量」の両面において「避けておいたほうがいいヤバイ酒」ということになります。

ただ、こうした健康面での懸念に配慮してか、大手飲料メーカー各社では、ストロング系缶チューハイの販売を見直す動きが広まってきているようです。

とにかく、アルコールは「単に酔えればいい」というものではなく、日々の生活の潤滑油として長く健やかに楽しむべきものです。その「原点」から外れることなく、肝臓の健康に影響しない範囲の中で飲むようにすべきなのではないでしょうか。