半生の鶏チャーシューで食中毒か 

同投稿は瞬く間に拡散され、同時間帯に同じラーメンを食べた複数人が、体調不良であると訴えていた。その後、胃腸炎の最も一般的な原因といわれる『カンピロバクター』、『低温調理』、『鶏チャーシュー』など、関連ワードがXで多数トレンド入りし、さまざまな声が寄せられていた。

神戸市は6月7日、保健所の立ち入り調査の結果、同ラーメン店で食中毒が起きたとして、3日間の営業停止を命じたと発表した。通報があった8グループ16名のうち調査のできた7グループ8名が、下痢、発熱、頭痛、関節痛等の症状を呈しており、原因食事は「加熱不十分な鶏チャーシューを含む食事」だとされた。

主な喫食内容は「加熱不十分な鶏チャーシューがのった鴨出汁ラーメン、貝出汁ラーメン」だった。

過去にも同じように半生チャーシューを提供していたラーメン店が食中毒トラブルを起こし、保健所から指導されたのち、閉店したこともある。そのため、鶏の『低温調理』、『半生での提供』の危険性についての情報もX上で拡散されている。

厚生労働省の公式サイトには、鶏の生肉からカンピロバクターを摂取し、食中毒に罹患してしまった場合、主要症状は、『下痢、腹痛、発熱、頭痛、おう吐、吐き気』だと記載されている。また、死亡例や重篤例はまれだが、乳幼児・高齢者、免疫力の弱い人は重症化する危険性もあるという。

さらに、「カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難などを起こす『ギラン・バレー症候群』を発症する場合がある」とも記載されており、一口に「食中毒」と言っても、あなどることはできない。

そこで、生で食べる鶏肉について、厚生労働省食品監視安全課に話を聞いた。

――ラーメン店などで出される『半生の鶏チャーシュー』や居酒屋で提供される『鳥刺し』など、飲食店での鶏の生肉の取り扱いに関して明確な基準はあるのでしょうか。

厚生労働省食品監視安全課(以下同) 明確な基準はなく、鶏肉を生で提供することは法律違反ではありません。ですので、提供している事実をもって『あなた法律違反ですよ』と取り締まることはできない。

ただ食中毒のような症状が出た方が、保健所やお医者さんに相談なさって、保健所の方で調査がなされて、その飲食店の食品によって食中毒が引き起こされたと断定されれば、保健所から適切な指導がなされると思います。

――食中毒は暖かくなると起きやすいのでしょうか。

一般的には、気温が高い時期に長時間放置された飲食物は、食中毒が起きやすいということがあります。厚生労働省の『食中毒』に関するページに『テイクアウト・デリバリーにおける食中毒予防』として、『テイクアウトやデリバリーでは、調理してからお客さんが食べるまでの時間が長く、気温の高い時期は、特に食中毒のリスクが高まります』と注意喚起させていただいております。

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国として鶏肉の生での提供について法で取り締まっていないが、九州の一部地域では、「鳥刺し」など生で食する文化があり、県の条例で衛生管理基準がある。そこで、鹿児島県庁生活衛生課にも話を聞いた。