半導体に食品添加物、消火器もの必要なリン
農林水産業以外の用途にも、下水道由来のリンを柔軟に使うべき。こう主張するのが、汚泥処理のエキスパートの株丹直樹さん。水処理やゴミ処理のプラントメーカーである株式会社タクマ(兵庫県尼崎市)の環境本部長付参事を務める。
「下水汚泥を燃やした焼却炉の灰には、リンが濃縮しています。我々は焼却炉のメーカーなので、灰からリンを回収できないかと考えています」
同社は、回収したリンの用途として、必ずしも肥料にこだわらないという。
「入ったものが出ていくということで考えると、『合流式』と呼ばれる、黎明期に作られた雨水と生活排水の両方が流入する下水道だと、土壌によっては重金属が流入してきます。最終的に化学処理をして取り除く場合は別ですけど、それをいくら焼いたところで、灰を肥料として撒く場合には重金属の問題が生じてくる。その点がネックかなとは思います」