入居者死亡のネット情報とトラウマは消えにくい

また、現代では入居者の死亡が物件におよぼす影響は甚大だ。

死亡事案があった物件の情報はウェブサイトで公開されることがあり、マンション名を検索しただけでその事実が表示されるようになることもある。その結果、物件価値が低下する可能性があるため、多くの賃貸オーナーが高齢者の入居を避ける要因となっている。さらに、高齢者の死亡事案はオーナーに対しての経済的な影響があるだけでなく、現場におもむく管理会社にとっては心理的なトラウマになる可能性もある。 

写真はイメージです
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「部屋の中から電気やテレビの音は聞こえるものの応答がなく、ドアが内側から施錠されているような状況に遭遇すると、管理会社の担当者は最悪の事態を想定して身が縮む思いをします。

とくにその状態が数日続く場合は、不安も増大します。このような場合、管理会社は単独での入室ができません。連帯保証人である遠方在住の子どもが仕事の都合で戻れないことがあると、警察立ち会いのもと入室することになります。

実際に亡くなっているケースもありますが、単に足が痛くて動けなかっただけということもあります。高齢の入居者が無事だった際に、管理会社が安堵から涙を流した話も聞きますね。亡くなった方の遺体を一度でも目にした経験による精神的なショックは、なかなか消し去ることができないものなのです」