サントリー広報部の回答
デザイナーを名乗る人らもこの考察に参加していたが、やはりセオリー通りに考えれば、この改行は考えづらいと指摘しており、そのうえでセオリーをあえて無視するという革新性を、商品イメージと合わせて表現しているのでは? という意見もある。
そこでサントリー広報部にこの改行位置にした理由について問い合わせをしてみた。
「サントリージン翠(SUI)が大切にしている翠ブルーを基調にしながら、多くのお客様の目に留まり杉咲さん扮する看板店員が実際に発した言葉に見え、親しみを感じていただきたいとの思いからこの表現としました」
やはりミスなどではなく、デザイン上の理由からあえてこのような改行を行なったそうだ。
しかしそもそも、デザイン上NGかは別として、小文字を行頭においてはいけないというルールは存在しないとも言われている。
「『ゃ』『っ』など、小文字が行頭にくることはそれほど珍しいことではありません。小説を手に取ってもらうとわかりますが、小文字が行頭にふつうに置いてありますよね。小文字を行頭に置いてはいけないというルールは存在しないのです。
Wordなどで“行頭禁則”の設定をしても小文字が行頭に来ることはあるので、小文字を行頭に置きたくない場合は、それようの設定をわざわざしなければなりません。逆に、行頭にまず持ってこないとされているのは、句読点や繰り返し(々)。これらは“行頭禁則”の設定をすれば基本的に、頭に来ることはないでしょう」(週刊誌校正者)
思わぬ反響を呼び、SNS上でデザイン談議を盛り上げてくれたサントリーの広告。たまには広告ポスターをデザイン的な目線で見てみるのも、いいかもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部