「財務部はパワハラの有無は今後百条委で…」

この結果に基づき県は、ハラスメント研修を充実させ、物品受領のルールを明確にする是正措置を取るとも発表。斎藤知事は自らこの方針を記者会見で説明した。

パワハラとおねだりに関し、“シロ”を宣言するような調査結果の発表は、斎藤氏が主張する正当性を後押ししそうだ。

だが、他の4つの疑惑をどう判断したのかは明らかにされていない。今回の発表で斎藤氏が望む方向に事態が進むかどうかは不透明だ。

「調査主体である県財務部は、県政記者クラブの記者らに、『調査は是正措置を講じるかどうか判断するためのもので、パワハラの有無は今後百条委などで明らかにされると認識している』と話しました。つまり財務部は、パワハラはあったともなかったとも判断していない、と認めたのです」(地元記者)

兵庫県庁(撮影/集英社オンライン)
兵庫県庁(撮影/集英社オンライン)

もう一つ大きな意味を持つのは、制度に基づきAさんが行なった通報に県組織が正式に対応していたという事実だ。斎藤氏の会見では全国紙記者から、以下のような鋭い質問が出た。

記者「財務部に先ほど1つ確認した。通報に公益性があったかどうか。(財務部の答えは)『(Aさんが)公益通報して受理して是正措置に繋がったということで、公益性があった』ということだった。(Aさんの告発は)単なる誹謗中傷ではなく、一定の公益性があるということになる。このことの受け止めを」

この問いから始まった一連の質疑で斎藤氏の答弁は大きく揺れた。

まず斎藤氏は、「担当課がどのようにレクしたかは、私はちょっと承知してないので、担当部局、担当課長なりが説明されたということが全てだという風に(思います)」と、通報に公益性があったか否かについての答えを回避した。

記者からはさらに「県当局が調査を行なったのは、通報には真実相当性もあると判断したためではないのか」という趣旨の質問が出た。

12月11日、会見で是正策を説明する斎藤知事(撮影/集英社オンライン)
12月11日、会見で是正策を説明する斎藤知事(撮影/集英社オンライン)

これに斎藤氏は「今回ハラスメントと認められる事案があったとの確証までは得られなかったという調査結果があった」と反論。しかし財務部は前出の通り、パワハラの有無は判断していない。