告発状では斎藤氏が買収罪の適用対象で折田氏は被買収罪にあたる
PR会社「merchu」の代表取締役・折田楓氏が、選挙で斎藤陣営のSNSの公式アカウントの管理・監修を含む広報の「運用戦略立案」を仕事として手掛けた、とnoteに書いたことが公選法の違反に当たるのではないかと指摘されている。
公選法ではネットの選挙運動を有償で依頼すれば買収となり、候補者の当選が無効になる場合もある。
これに対し、斎藤氏の代理人・奥見司弁護士は11月27日、斎藤陣営が「ポスターデザイン制作」などの名目で計71万5000円をmerchuに支払ったと認めながら、折田氏はSNS広報をボランティアで行ない、主体的な関与もないと主張し、違法性を否定した。
この経緯を見て告発したのが自民党の裏金問題を暴いた神戸学院大の上脇博之教授と元検事の郷原信郎弁護士だ。
12月1日に兵庫県警と神戸地検に送った告発状では斎藤氏が買収罪の適用対象で、折田氏は被買収罪にあたるとしている。
2日に開いたオンライン記者会見で郷原氏は、選挙前に斎藤氏本人が折田氏から「SNSの利用」を「選挙で協力しうること」として説明を受けていたことを挙げ、「merchuはSNS広報戦略を業とする会社です。(選挙でのSNS広報の提案を斎藤氏が)聞いたが受け入れなかったところ、ボランティアでやってもらった、という。そんな会社があるのか」と指摘。
支払われたのはSNSを含む選挙運動への報酬で買収にあたると説明した。
上脇氏も「noteを見て、どう考えても(merchuが)主体的なPR活動を行なっていたことは明らか」と述べ、奥見氏が報酬支払いを認めたことで犯罪の構成要件がそろったと判断できたため告発状送付に踏み切ったと話した。
2日、斎藤氏は登庁時に普段の入り口を使わず報道陣を避けた。午後に取材に応じた斎藤氏は告発に対し「公職選挙法などに違反することはないと認識してます」と、これまでと同じ言葉を口にした。
だが、斎藤氏がメディアを避け始めたより大きな理由は、今年3月にパワハラや公金不正支出などの疑惑をメディアなどに告発した当時の西播磨県民局長・Aさん(60)が作成し県の公用パソコンに入れていた私的な個人情報とみられるものを、立花孝志氏が前週の金曜日、11月29日の深夜からSNSで拡散させ始めたためだと思われる。
立花氏の主張通りこれがAさんの私的文書だった場合、データの押収や管理に携わった県中枢の人物しかアクセスできないものが漏洩したことになり、個人情報保護法や県情報公開条例に抵触する疑いが出ることに加え、斎藤氏の監督責任も免れない。